丹木の歳時記2024 水無月(三)

水無月(一)で紹介したマキシモビッチやロバート・フォーチュンが来日したのは1860年。その5年にはトロイ遺跡の発掘で知られるドイツの考古学者シュリーマンがやってきました。彼を乗せた船は上海を出航。1865年6月4日に横浜に上陸しています。横浜から町田を通って八王子を訪れたのは6月19日。約160年前の今頃です。梅雨の土砂降りの雨で着ていた蓑も役に立たずずぶ濡れに。『シュリーマン旅行記 清国・日本』には「田園はいたるところさわやかな風景が広がっていた。高い丘の頂からの眺めはよりいっそう素晴らしいものだった」と綴られています。1822年生まれのシュリーマンは当時43歳。実業家としてロシアで巨万の富を得て、41歳で事業から引退。今で言うところのFIRE(Financial Independence, Retire Early)です。「家々の奥の方にはかならず、花が咲いていて、低く刈り込まれた木でふちどられた小さな庭が見える。日本人はみんな園芸愛好家である」。「日本人が世界でいちばん清潔な国民であることは異論の余地がない。どんなに貧しい人でも、少なくとも日に一度は町のいたるところにある公衆浴場に通っている」等々。彼の旅行記をひも解けば、その目に映った幕末の日本の光景をうかがい知ることができます。
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