丹木の歳時記2025 水無月(三)

「文学の池」の水面を、今年も赤と白の睡蓮が彩っています。元は白い花のみだった睡蓮の中から、19世紀に赤い花が見つかったことをご存知でしょうか。その後、1889年に開催されたパリ万博ではフランスの育種家マルリアック(1830-1911)が品種改良した黄色や赤の睡蓮が出品され、人々の目を惹きつけました。この色彩豊かな睡蓮に注目したのが、印象派の画家クロード・モネ(1840-1926)です。モネは仏ジヴェルニーの自宅の池で、マルリアックに注文した睡蓮を育成しました。そして1890年代末から1926年に亡くなるまで、実に約300点もの「睡蓮」の絵を描き続けたのです。マルリアックによる品種改良がなければ、モネの連作も生まれなかったのかもしれません。モネと同時代の画家と言えば、ルノワール(1841-1919)やセザンヌ(1839-1906)、シスレー(1839-1899)などの印象派の画家たちが思い浮かびます。パリ万博から遡ること15年、1874年に開催された展覧会に出展した若手グループは、モネの出展作『印象・日の出』にちなんで、後に印象派と呼ばれることになりました。現在、東京駅近くの三菱一号館美術館では、「ルノワール×セザンヌ展」が開催中です。二人の画家の代表作約50点が展示されている今回の展示は9月7日までですので、印象派の絵画がお好きな方はお見逃しなく。












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