丹木の歳時記2025 神無月(一)

いつになく賑やかなシジュウカラやエナガの囀りが聞こえてきました。こんな時、シジュウカラの言葉を解明した動物言語学者の鈴木俊貴さんに尋ねると、「この鳴き声は『警戒して、よく注意しろ』という意味です」と解説してくれるかもしれません。
よく見ると小鳥たちの視線の先には、猛禽類の一種のツミがいました。日本に生息するタカの中でも最小のツミは、シジュウカラやエナガなどの小鳥を捕食します。
ところが同じ木の下で枝を飛び回る小鳥たちはなぜか恐れる様子も逃げる気配もありません。ツミがこれまでの罪(つみ)を悔い改め、共存共栄の道に方向転換したのでしょうか(笑)。はたまた食後の休息時間だったのでしょうか。
最近の研究では鳥に限らず様々な生物が多用な手段でコミュニケーションを取りあっていることが分かっています。たとえばトウモロコシは葉を芋虫にかじられると、その芋虫を捕食する蜂を呼び寄せる化学成分を放出するそうです。また傷ついたアリの匂いを出して蠅を誘い、蠅に受粉の手助けをさせる花も見つかっています。
自然界は人間には知覚できない様々なシグナルに満ち溢れ、情報伝達が行われている。そう思ってキャンパスを歩くと、いつもの景色もきっと違って見えてくるでしょう。












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