丹木の歳時記2025 師走(二)
二十四節気の大雪を迎え、列島各地で雪の便りが聞かれる季節となりました。キャンパスの紅葉もそろそろ見納め。小春日和の中で咲く花と言えば山茶花(サザンカ)くらいです。
この時期に目を引くのは南天(ナンテン)やピラカンサの鮮やかな赤い実。落ち葉をかき分けると蛇の髭(ジャノヒゲ)の青い実も見られます。蛇の髭の根は漢方薬として用いられ、咳止めや強壮の効用があります。
雑木林の地面付近では、そこかしこで小さな蝶のような灰色の蛾が飛び交っています。これは冬尺蛾(フユシャク)と呼ばれる蛾の仲間で、日本では30種近くが知られています。幼虫は尺取虫です。
冬尺蛾の雌の翅は完全に退化していて飛ぶことは出来ず、しかもよほど昆虫に詳しい人でもなければ蛾とは識別できないような姿をしています。従ってヒラヒラと飛んでいるのは全て雄。雌が出すフェロモンを頼りに交尾の相手を探しているのです。
多くの昆虫が影を潜めた季節にも、足元では命をつなぐための懸命な営みが繰り広げられている。そのような小さな発見が冬の散策の楽しみでもあります。
「丹木の歳時記」への感想はこちらまで
E-mail:publicrelation@soka.ac.jp
Facebookの「いいね!」やツイートも執筆の励みになります。
Instagramでも丹木の里の四季折々を紹介しています。創価大学公式アカウントはこちらから