丹木の歳時記2026 水無月(三)
平安文学の双璧といえば紫式部の『源氏物語』と清少納言の『枕草子』です。『枕草子』の成立は1000年前後と考えられており、『源氏物語』は1008年頃までには一部が成立したとされています。
清少納言が仕えたのは、一条天皇(980-1011)の中宮・定子(ていし)。『枕草子』には宮中での定子の生活が活写されています。一方、紫式部は同じく一条天皇の中宮・彰子(しょうし)に仕えました。藤原道長の長女の彰子が後から中宮となったため、定子は中宮から皇后へと改称し、一人の天皇に后が二人いるという「一代二后」の先例となります。
彰子のもとに紫式部が出仕したのは1005年。清少納言が仕えた定子は1000年に亡くなったため、紫式部と清少納言が宮中で直接顔を合わせる機会はありませんでした。紫式部は清少納言について、「まことに得意顔もはなはだしい人。賢(かしこ)ぶって漢字を書き散らしているが、不足な点がたくさんある」(『紫式部日記』)と辛口の評価を下しています。
ムラサキシキブという植物にもその名を残した紫式部。一方の清少納言の晩年は不明ですが、困窮していたと伝えられています。この時期に紫色の花を咲かせるムラサキシキブの雅な芳香を楽しみながら、平安の世を生きた二人の女性に思いを馳せました。
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