丹木の歳時記2026 水無月(四)
毎年「文学の池」にはたくさんのトンボが飛び交います。これまで構内では27種のトンボが確認されています。なかでもオオシオカラトンボやコシアキトンボは縄張り意識が強く、池の水面で激しい空中戦を繰り広げます。
そんなトンボたちの中で、池の淵に沿ってパトロールするかのように悠然と飛翔する大型のトンボがいます。毎年見かけるのですが、オニヤンマでもなければギンヤンマでもありません。どこにもとまらず飛び続けるため、目で追うだけでは種名までは分からないのです。
敵に攻撃を仕掛けるトンボの習性を利用すべく、枝の先にオニヤンマの模型をつるして誘ってみましたが、見向きもしません。池の淵に立って昆虫網を振ってみても、そうやすやすとは捕まりません。あと一歩というところで取り逃がした年もありました。
こうして毎年、種名が判別できないまま消化不良の年を送ってきました。そして本年こそはと、再チャレンジ。ついに捕獲に成功したのです。写真を撮り、昆虫に詳しい知人に確認してもらったところ、その正体はオオヤマトンボでした。こうして年来の謎がようやく解明でき、「文学の池」の生態系への理解を一歩深めることができたのでした。撮影後は再び元気に飛び立っていきましたが、次は警戒して岸の側にはやってこないかもしれません。
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