『日本デューイ学会紀要』第66号が刊行 ―創価大学開催・第67回大会を総括する学術的成果を収録―
日本デューイ学会より、『日本デューイ学会紀要』第66号が刊行されました。本号には、昨年創価大学にて開催された第67回日本デューイ学会大会の内容が特集され、デューイ研究に関する最新成果を提示する学術的価値の高い一冊となっています。
巻頭には、同会理事の柳沼良太氏(岐阜大学教授)による論文「ジョン・デューイと牧口常三郎―教育思想の比較考察を中心に―」が掲載されています。20世紀の教育思想史において重要な位置を占める両者の思想的交差点を精緻に検討し、牧口教育学の理論的意義を学術的に評価する内容となっています。
昨年の大会の実行委員長を務めた伊藤貴雄副所長(本学ジョン・デューイ研究センター所長)は、次のように述べました。
「創価大学での大会開催を通じて、デューイ研究と日本の教育実践、そして哲学的探究が多面的につながり合う姿を実感しました。本紀要には、その成果が豊かに結実しています。今後も国内外の研究者との協働を進め、デューイ研究の新たな地平を開いていきたいと願っています。」
収録されている講演・シンポジウム等の記録は以下の通りです。
基調講演・シンポジウム「個・対話・生活 ―子どもの成長をうながす―」
石坂友輔(富山市立堀川小学校教諭)
「自主創造―くらしをみつめ、追究する子ども―
~すべての子どもが自己実現をはかることのできる教育をめざして~」
川島紀子(創価大学教職大学院修了/東京学芸大学附属世田谷中学校教諭)
「博物館・動物園・大学と連携した中学校の教育実践」
福田聡(創価大学教職大学院修了/東京創価小学校教諭)
「p4cの授業実践から対話の価値を考える」
藤井千春(日本デューイ学会会長、早稲田大学教授)
「富山市立堀川小学校の教育実践―『個が育つ教育経営』についての考察―」
課題研究「デューイと人間の尊厳 ~カント生誕300年を記念して~」
生澤繁樹(名古屋大学教授)
「デューイのプラグマティズムと『人間の尊厳』―人権の反基礎づけ主義と教育理論を問いなおす―」
伊藤貴雄(研究所副所長・創価大学教授)
「デューイとカント ―『定言命法』と『尊厳』をめぐって―」
藤井基貴(静岡大学准教授)
「現代の教育における『尊厳』概念の射程―カント・デューイ・科目『公共』―」
鵜飼峻二(静岡大学特任助教)
「『人間の尊厳』に関する思弁的方法論の必要性―デューイによるカント批判を手がかりにして―」