丹木の歳時記2026 卯月(三)
「世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」。在原業平が詠んだ『古今和歌集』の歌です。各地で桜の開花が発表される度に、日本人の桜への格別な思いが感じられます。
『万葉集』に登場する花は一番多いのが萩、2番目は梅です。桜は8番目にとどまっており、奈良時代は梅の方に人気があったことがうかがえます。古今和歌集が編纂された平安時代には花見の対象が桜へと移ったのでしょう。この時代の主な桜は山桜でした。
本学には代表的な品種である染井吉野をはじめ、大島桜、寒緋桜、枝垂れ桜に山桜、八重桜、富士桜など約2500本の桜があります。開学前に植栽された桜は55年以上経過しました。中には高齢化や虫の被害などによって樹勢が衰えた木もあり、植え替え作業が進行中です。
桜といえばまず思い浮かぶソメイヨシノは、江戸時代末期にエドヒガンとオオシマザクラの交配で誕生し、接ぎ木によって全国へと広がりました。一口に桜といっても、栽培品種は数百種あります。これらがどのように生まれたのか、国立遺伝学研究所ではゲノム解析による調査が進められています。
「分きて見ん老木(おいぎ)は花もあはれなり いま幾度か春に逢ふべき」と詠んだのは西行。老木にも老木ならではの味わいがあり、若木とともに春のキャンパスに彩りを添えています。
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