丹木の歳時記2026 皐月(四)
1924(大正13)年、京都府立植物園は日本で最初の公立植物園として開園しました。最近、同園の蔵書から貴重な古書が見つかったことが話題になっています。
その古書の名は『本草綱目』。中国・明代の本草学者、李時珍(りじちん、1518-1593)がまとめた全52巻からなる書物で、当時を代表する百科全書です。
今回見つかったのは「金陵本(きんりょうぼん)」と呼ばれる初版本で、世界にわずか15セットほどしか現存しないと言われる極めて貴重な古書。ほぼ全巻に近い46巻が確認され、評価額は1億円と鑑定されました。
「本草(ほんぞう)」とは、薬草をはじめ薬物になる動植物・鉱物を研究する学問を指します。『本草綱目』は江戸時代に日本に伝わり、儒学者の林羅山が家康に献上したことも知られています。
同書を府立植物園に寄贈したのは植物学者の白井光太郎(しらいみつたろう、1863-1932)。本草学の権威で、東京帝国大学農科大学教授を務めた人物です。それ以前は江戸時代の本草学者・小野蘭山(おのらんざん、1729-1810)の弟子の一人・小原桃洞(おはらとうどう、1746-1825)の蔵書だったそうです。
今回の発見は、中国・明代に記された学問的遺産が国と時代を超えて受け継がれ、守られてきた証左と言えるでしょう。この『本草綱目』は6月13日~7月5日まで、京都学・歴彩館で展示される予定です。興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
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