学生座談会 ー国際看護研修に参加してー
本年3月、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(以下UCSF)とオンラインによる国際看護研修を開催しました。今回は、参加した学生8名に、座談会形式でインタビューを行いました!
●研修参加者の8名
上段左から:サチコさん、関さん、山根さん、小島さん
下段左から:里見さん、霜垣さん、山本さん、眞栄里さん
※以下敬称略
ーオンライン国際看護研修に参加しようと思った理由を教えてください
里見:大学入学前から、海外の看護大学と交流していることに魅力を感じていました。グローバルな視野を学びたいと思い、参加を決めました。
小島:私は将来NP(診療看護師)としてアメリカで働きたいと考えているため、アメリカの医療課題や生活について学びたいと思い、参加しました。
山根:眞栄里さんは2回目の参加だよね。
眞栄里:そうなんです。2021年度に続いて今回が2回目の参加となりますが、将来保健師になるために、大学院進学を目指していて。論文の研究方法とか学びたかったので参加しました。
ー国際看護研修では、英語でリサーチプレゼンテーションを行うそうですね
里見:グループに分かれてテーマを決めて、日本語・英語の文献を読み深めたり、UCSFの先生にインタビューを行います。
霜垣:私たちのグループでは、「急性期におけるアメリカ・サンフランシスコの退院支援」について研究しました。
ーなぜそのテーマにしたのでしょうか
霜垣:国際看護科目の授業で、日本は退院までの在院が長く、アメリカは短いことを知り、在院日数を短くするために具体的に取り組んでいること、どういう社会的・文化的背景が関係しているのか、これから私たちが働く上でも、取り組めること、意識できることが学べたらいいなと思い、このテーマにしました。
ー印象的な学びとなったことは何ですか
里見:アメリカでは早く退院できる工夫として、退院調整のリーダーが、患者さんが入院した直後から退院後の生活を見据えて、状況を把握してケアをするそうで、早い段階で退院支援に取り掛かる意識を持っていることに驚きました。
関:退院までのプロセスを明確にしたうえに、手術が終わった後の適切な医療と、看護師のモニタリングやアセスメントがしっかりしてるから、確実に早期に退院できるんだなーって実感しました。
里見:「全人的な看護」を学べたことも印象的でした。1年生の時から学んでいたけれども、「患者さんの疾患だけでなく、経済環境や家庭、職場環境、食生活、など、関わる全てを含めて捉えることが全人的ということだよ」って教えてもらいました。その意識が早期の退院にも繋がっているんだなーと実感しました。
オンラインでの研修の様子
山根:私たちのグループでは「アメリカでの小児の肥満の問題」について取り上げました。アメリカでは肥満に関する課題として、健康問題だけでなく、医療費が多く使われていることも問題とされています。成人期で肥満になっている人のほとんどが小児期から肥満となっていることから、小児期における肥満の予防が大事であると仮定し、その対策を探りました。
山本:アメリカの環境を調べる中で、学校帰りにファーストフード店に寄れたり、お金を払ったら給食を追加できる制度があるそうで、なおかつフレッシュな野菜が高いから安くておいしいジャンクフードでおなかを満たす、という、経済的弱者が肥満に陥りやすい食文化であることがわかりました。
また、インタビューを通して、治安が悪いから外で運動できないし、お金がないから習い事もできない、なので運動が不十分なうえに高カロリーなものを食べるために肥満となってしまうと知りました。
サチコ:肥満の問題は個人的な意識や家の食習慣じゃなく、文化的・経済的背景が健康的格差に大きく影響していることが分かり、患者さんと関わるうえでも視野を広く持って、患者さんの真のニーズは何か捉えられるようにしたいと思いました。
ーすばらしいですね。眞栄里さんは2回目のオンライン研修で学びが深まったことなどはありますか。
眞栄里:去年とは違う分野の研究だったのですが、どちらも共通して言えることが、1つの医療課題の背景に複数の課題が関係しているということです。制度の違いから、日本では考えられなくともアメリカにおいては課題となること、その逆もあると思います。いろんな問題が重なりすぎて、解決が難しく考えられたとしても、UCSFの先生方のお話から、熱意と使命感ががあれば解決の道が開けるんだなと感じました。私もそのように活躍する一人になりたいと思います。
ー国際看護研修に参加できてよかったと思うことは何ですか
里見:UCSFの先生が、「今回の研修に限らず、いつでもあなたの学びを全面的にサポートするよ」と、直接会ったこともない学生たちをこんなにもサポートしてくれるんだと感動しました。国際看護は、学問とそれを理解するための語学力も必要なので、ハードルが高く、諦めようかなと思ったこともありましたが、先生の優しさに応えたい、頑張りたいと思い、最後まで挑戦し抜くことができました。研修のおかげで充実した春休みを過ごすことができました。
サチコ:ほんとにそう。あとは、研修のメンバーに出会って、お互いに励まし支えあいながら取り組めたことは貴重な経験だと思います。
関:個人的には、目標を持って挑戦できたことがよかったです。高校2年生の時に、アメリカで医療ボランティアをした時、本当に何を言っているのか分からず、コミュニケーションも手探りな状態でした。今回、国際看護研修に参加するまでに、英語の勉強も頑張ったところ、英語を聞き取れていることに、感動しました。目標をもって挑戦し、自分の可能性を引き延ばすことができて自信に繋がりました。
事前学習時の休憩時間
ー今後の展望を教えてください。
サチコ:英語ができることで、海外の患者さんにとったら不安や痛みを理解してもらえる、とても安心することだと思います。相手の文化等を理解することと、英語力を磨くことに挑戦したいと思いました。
山根:「異文化を理解する」って、思った以上に難しいと感じました。でも、違いを理解することが問題の根本的な解決に繋がると思うと、患者さんが抱えている一人ひとり全く異なる状況や課題、バックグラウンドを理解して、寄り添った看護を実践できるようになりたいと思いました。
里見:ほんとそう思います。私も患者さんを「全人的に捉えて」、看護を実践したいと思いました。
霜垣:医療の世界だけでは解決できないこともあり、経済問題やその国の制度など、患者さんを取り巻く環境を学ぶべきだと思いました。そして、今受けているさまざまな授業の内容も、看護師として働き、患者さんと関わる姿をイメージしたうえで意味付けしたいと決意できた研修でした。これから実習も本格化するので、患者さんに寄り添う看護の実践を身に付けて行きたいです。
山本:研究を通して、社会的弱者の生命が脅かされないように、看護師として解決に携われることを考え、実践できるようになりたいと思いました。
小島:改めてアメリカで働きたい!と強く思うようになったし、講師をしてくれた先生がハワイの方で、当たり前だけどどんな場所にも医療はある!と感じた時に、アメリカ本土だけでなく、もっといろんな国の文化・考え方・医療体制や課題を知って、貢献していくフィールドを広げたいと思いました。