丹木の歳時記2024 長月(二)

新古今和歌集に「秋風にたなびく雲の絶え間よりもれいづる月の影のさやけさ」(左京大夫顕輔)と歌われています。新古今和歌集が編纂された鎌倉時代の中秋(旧暦8月15日)の頃ともなれば爽やかな秋風が吹いていたのでしょう。今月17日の中秋の名月は熱帯夜で迎えることになりました。当日は満月とはならず、翌18日が満月。十五夜とは旧暦の毎月15日の夜を指し、月の周期(29.5日)と微妙なずれが生じるため、十五夜と満月が重ならないこともあるそうです。現在、アメリカ航空宇宙局(NASA)が進めるアルテミス計画では2025年以降に月への有人飛行を開始。地球から物資を運んで月に拠点を建設することになっています。さらには月拠点を中継点として火星への有人飛行も計画されているとか。かぐや姫が月へと帰っていく竹取物語は平安時代には成立していたものの、よもや月や火星への居住が計画される時代が来ようとは、当時の人々には想像すらできなかったことでしょう。次に中秋の名月と満月が重なるのは2030年。遠くない未来の中秋には、月で生活する人類を地球から観測できるかもしれませんね。
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