留学体験(山本久温さん・ペーチ大学)

Q1. ハンガリーのペーチ大学に留学されていたそうですね。

はい。ハンガリー第三の都市、ペーチにある「ペーチ大学」にて、2022年2月から8月頃まで、半年間の交換留学に行ってきました。ペーチ大学は、1367年に設立された中央ヨーロッパ最古の大学の1つであり、ハンガリーで最も権威のある大学の1つです。約30,000人の学生が在籍し、そのうち約4,000人が留学生で、世界からの留学生が多く集まる国際的な大学です。留学中は、様々なバックグラウンドを持つ学生たちと、経済学やマーケティング・経営学について学びを深めてきました。
 

Q2. なぜ、その国・大学を選びましたか?

理由は大きく二つあります。
一つ目がコロナウイルスの影響です。
私はもともと、ベトナム・ハノイ国家大学に1年間の交換留学に行く予定でした。
しかし、留学出発の数ヶ月前に中止を伝えられ、留学を諦めることを余儀なくされました。そんな中、留学が可能な欧米やアフリカに渡航する友人たちを見ていると、「今からでも留学行きたい!」そう思うようになりました。
結局、入学時より志していた留学を諦めることができず、交換留学A日程でペーチ大学に留学することにしました。

二つ目に、様々な人がいる環境に自ら飛び込み、異文化や自分自身の理解を深めたいと思ったからです。ペーチ大学は、在学生のうちおよそ15%が留学生で、いろんな背景を持つ学生が多く在籍しています。
そのような素晴らしい環境の中で、これまでの大学生活の中で特に力を入れてきた経済学部のInternational ProgramやHOPEで培った英語や経済学の実力が、どれほど通用するのか挑戦したいと思い、ペーチ大学を選びました。
 

Q3. 留学中に、ペーチの田舎具合に驚いたそうですが?

ペーチはハンガリー第三の都市だということを留学前に聞いていたため、街としてはそれなりに大きく、栄えているんだろうなというイメージを持っていました。しかし、実際に行ってみると、自分の想像とかけ離れていました。街中には大きなスーパーが数軒と大学のキャンパスがあるくらいで、大学生と高齢者の街という印象を受けました。また、日本のコンビニやスーパーのように22時頃まで営業しているお店があまり無く、ほとんどが21時頃に閉店してしまうという点にも驚きました。
また、首都ブダペストまでは電車で3時間もかかるため、遊びの誘惑も比較的少なく、勉学やオンラインでの就職活動に集中することができました。ペーチはまさにハンガリーの創価大学と言ったところですかね(笑)。
ただ、ペーチを選んだことは後悔していません。私は環境に非常に影響されやすい性格なので、誘惑の多い場所に行かなくて良かったと思っています。

Q4. 留学中は、ヨーロッパ旅行 が楽しかったそうですね。

留学中、少し長い休みが何度かあったため、ハンガリーの首都ブダペスト・スイスのインターラーケン・フランスのパリに旅行に行ってきました。
ブダペストでは、「ドナウの真珠」と言わているドナウ川沿いの夜景や、ハンガリー名産のフォアグラ料理を堪能しました。スイスでは、登山鉄道に乗ってヨーロッパ最高地点(3454m)にあるユングフラウヨッホ駅に行ってきました。最高到達点から見えるアレッチ氷河とどこまでも続くアルプス山脈の絶景には言葉を失いました。フランスのパリでは、ルーブル美術館・エッフェル塔・モンマルトルなど、有名なところを一通り行ってきました。映画やドラマで見るようなパリの美しい街並みはとても綺麗で、鮮明に覚えています。また、途中で食べたアイスクリームやケーキの味も最高でした。

Q5. 留学中に、4人部屋の寮生活に苦労したとお聞きしましたが。

文化・宗教や生活習慣の違いから、寮での共同生活に大変苦労しました。
留学中は、4人一組でリビングやシャワールームを共有し、寝室は2人ずつで共有するタイプの寮に住んでいました。ルームメイトは、ヨルダン・アルバニア・フィリピン・ウクライナ(途中、フィリピンの学生とウクライナの留学生が入れ替わる)の学生たちで、彼らと約半年間、衣食住を共にしました。
寮生活では「日本人なら当たり前にすること・しないこと」が通用しないため、ストレスを受けることがいくつかありました。
また、特に大変だったことはラマダン中の生活です。寝室を共有していたヨルダンの友人はイスラム教徒だったため、太陰暦の第9の月の一か月間、太陽が出ている間に断食を行います。ラマダン中のイスラム教徒の方々は日中にエネルギーを節約するため、夜中に活動することが多く、生活リズムの違いから、眠れないことが頻繁にあり、非常に大変でした。
しかし、共同生活は大変なことばかりではなく、互いの国の料理をふるまい合ったり、夜遅くまで語りあったり、楽しいことや新しい発見などがたくさんありました。
 

Q7. 留学していちばんよかったのは、自分自身の内省とこれからについてじっくり考えられたことだそうですね。

留学を通して、自分が得意なこと苦手なこと、足りないものを見つけて成長できたことが良かったです。
全てが初めての場所で、文化が全く異なる環境に自分の身を置いたことで自分や、自分の国を客観的に見ることができました。その結果、他の人にはない自分だけの強みや、自分自身の足りない部分などを客観的に理解し、その克服と成長に取り組むことができました。
また、留学を通して内的キャリアを考え直すことができた点も良かったです。
元々は、海外に身を置いて、途上国(特にアジア)の経済発展に貢献できるような仕事がしたと考えていました。ですが、留学を通して日本という国を客観的に見ることができたことで、日本の素晴らしい文化や技術、歴史を誇りに感じて、それらを世界に広め、沈みゆく日本経済を活気付けられるような仕事がしたい、と思うようになりました。
 

Q8. これから留学を目指す後輩達に一言お願いします。

目的感を持って留学に行くことを大切にして欲しいです。
留学を目指す方の中には、留学に行く理由がまだはっきりとしていない方も多くいると思います。今は留学に行くことがゴールでも大丈夫なのですが、留学に行くことが決まったら「留学を通してどんな自分になりたいか」「現地で挑戦・経験したいことは何か」自問自答を繰り返し、何のための留学か、ということを自分の中できちんと整理したうえで、留学先では主体的に行動してください。
また、留学に行くか迷われている方は「絶対留学に行かなくてはならない」という盲目的な視点ではなく「今の自分に本当に必要なものは何か」という広い視野を持って限られた時間を有効に使い、有意義な大学生活を送って欲しいです。

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