留学体験(黒岩伸之介さん・フィリピン・イースト大学)

10ヶ月間共に暮らしたルームメイトとの写真

留学の目的、その国や大学を選んだ理由

 留学の最大の目的は、フィリピンの社会課題や文化、人間性を学ぶ中で、一生涯の友情を築いていくことでした。創価大学における開発・環境経済学のいくつかの授業で、フィリピンの社会課題について学び、この国の現状を実際に見てみたいという思いもありました。フィリピンのイースト大学を交換留学先として選んだ一番の理由は、2022年夏にWLC主催のイースト大学研修に参加したことです。フィリピンの歴史や文化などを学んだ研修で、ホスピタリティ溢れるフィリピン人の人間性やサポートに感動しました。また、イースト大学総長は、創価大学創立者を非常に尊敬されており、長年の友好にも感化されました。これらの理由から、またこの場所で、フィリピン人と共にお互いの文化や人間性を学び合うために、フィリピンのイースト大学を交換留学先として選びました。

2022年に参加したイースト大学研修での写真

大学の概要、特色
 
 イースト大学は、第二次世界大戦後の1946年に設立された歴史ある私立大学です。創価大学とは「学術交流協定」を結んでおり、長い間交流を深めてきた大学です。毎年、WLCの研修や看護学部研修が行われています。イースト大学には、ビジネス系、医学系、工学系、観光系など8つの学部があり、フィリピン出身の学生が殆どですが、様々な国や地域から学びに来ている学生がいます。また、フィリピンで有名なUAAP(University Athletic Association of the Philippines)の名門校であり、バスケットボールやバレーボールなどのクラブ活動も盛んな大学です。

イースト大学マニラキャンパスの写真

現地での学びや活動状況

 大学では、ビジネスやフィリピンの歴史関連の科目を主に履修して学んできました。学生の殆どがフィリピン人のため、授業は基本的にフィリピンの公用語の一つであるタガログ語を用いて行われますが、私が日本人であることを伝えてからは、英語も用いて講義を行なってくれました。それでも、教師と現地学生との間の会話はタガログ語で行われるので、理解が難しいことも多かったです。フィリピンの歴史について話すと、16世紀から19世紀の間、スペイン植民地支配が行われており、その後はアメリカが支配していました。1945年、真珠湾攻撃を発端に、日本とアメリカを含む連合軍が首都マニラで1ヶ月間にわたる市街戦が起こり、10万人以上のフィリピン人が亡くなりました。これらの歴史的背景から、フィリピンでは、スペインとアメリカを中心とした文化が混在しています。そのため、英語を話せるフィリピン人が多く、フィリピンの公用語には、スペイン語、英語、日本語由来の言葉も沢山あります。現在では、日本が大好きなフィリピン人が多く、アニメやスポーツなどについて話した、文化交流も沢山行うことができました。最初はシャイなフィリピン人もいましたが、話していくうちに、日本とフィリピンにおける価値観や考え方の違いなど、新たなことをお互いに学んでいくことができました。また、フィリピンは、ジェンダーに関して比較的寛容な国であり、それぞれの個性を尊重する文化が進んでいることに大変感心しました。日常生活から、様々な人々と話すことで友好を築くことができ、大きく視野や価値観を広げることができました。
 課外活動では、フィリピンにおける環境問題の現状と原因を理解するために、様々なボランティア活動やコミュニティ訪問などに参加してきました。特に、私の研究内容に関わる廃棄物問題に関わる活動に取り組んできました。メトロマニラ地域では、人口が増加し続ける中、ごみの排出量も増加し続けており、使い捨てプラスチックなどのポイ捨ても多い現状です。この理由の一つとして、安価で手に入る、使い捨てシャンプーやボディーソープなどの商品が出回っており、これを使う人が多いことが挙げられます。そのため、廃棄物が水路に詰まったり溜まったりして、結果的に、雨季を中心に洪水や氾濫が大規模な被害をもたらしています。特に、住居が密集したメトロマニラ地域では、住居の1階が浸水することも多いそうです。このような生活環境で、長い間、ごみを分別してリサイクル業者等に売り、生計を立てている貧困層の人々が多いのも現状です。彼らは、ダンプサイトとして使用されていたスモーキーマウンテン周辺に住んでいることが多く、新たな職の機会を得ることができず、貧困の罠から抜け出せないという現状があります。これらについて学ぶ中で感じたことは、環境問題は革新的な解決方法がないと解決は困難であり、解決したとしても貧困層の人々の生活が厳しくなる可能性が高いということです。他にも多く学んだことがありますが、状況は常に変化していくので、この先も真剣に学び研究していきたいと考えます。

他大学で学ぶ創大生と参加したボランティアでの写真
海岸に打ち寄せられた多くのごみ。このごみを拾う活動に参加しました

留学の成果

 留学での最も大きな成果は、新たな考えや価値観を与えてくれる一生涯の友人を多く持つことができたことです。そして、見た全てのモノやヒトから、それぞれにしかない価値や人間性を尊重する社会環境がフィリピンにあるのだと実感しました。これは、多くのフィリピン人が持つ、自分よりも家族や友人を大切にする強い想いなどの、寛容さやホスピタリティに起因すると思います。嫌なことや辛いことがあっても、家族や友人と共に乗り越えていく素晴らしい関係性があります。多くのお金を持っているかどうかに関わらず、今ある生活や人間関係から、自然と幸福や笑顔を生むことができるフィリピン人の人間性はとても素晴らしいです。これらの経験から、自分を含めたヒトやモノを多角的に見ることができるようになってきたことも大きな成果です。
 

今後について

 私は今後もフィリピンで出会った人々との友好を大切にして、これから縁する人々とも共に生きる幸福や希望を拡げていきます。学問では、専攻の環境経済学の専門性を磨き、進路では、どこに就職しても、人々の生活をより良くすることに貢献していきたいと考えます。また、将来的には、国際協力機構の一員として、フィリピンを初めとするアジア諸国の持続可能な開発に貢献していきたいと考えます。そして、英語やタガログ語の学習にも引き続き取り組み、これまでお世話になった人々と交流を行ったり、新たな友好を築いたりしていきたいと思います。
 

“Understanding the Self”の教授とクラスメイトとの写真
友人とリゾート地に滞在した時の写真

留学を考える後輩へ

 留学は自分の価値観や可能性を開花することができるとても貴重な機会だと思います。私は、元々身体が弱く、長期留学は難しいと考えていました。それでも、創大生である今だからこそ、安全に楽しく留学に挑戦できると思い、イースト大学の研修と交換留学に挑戦させていただきました。皆さんにも、皆さんにしかない大成長の機会が、創価大学にはあります。今後も、より大きな夢や目標を持って、自分らしく挑戦の日々を過ごしていってください!Mabuhay!

留学期間:2023年7月〜2024年5月

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