「社会貢献と経済学」第13回授業が行われました
12月12日の4時限に、社会貢献と経済学の第13回授業が行われ、今回は、一般社団法人南三陸ひとtomoni代表理事の伊藤 俊氏にオンラインでの語り部ツアーを行っていただきました。
雪舞う中、伊藤氏が震災遺構である高野会館前から、オンライン中継を開始。以前は賑やかな街並みが広がっていたという高野会館周辺は、何もない風景が広がっていました。その後、カメラを片手に伊藤氏が高野会館の中に入りました。震災当日は近隣の老人会が楽しいひと時を送っていた様子を話してくれました。画面の中から、浮かび上がってくる津波の被害の大きさ、建物自体は基礎工事がしっかりと行われていたため、びくともしなかったようですが、壁は剥がれ、天井のシャンデリアが落ちている様子は、生々しさを感じさせるものでした。そして、多くの人々の命を救った屋上までたどり着き、そこで一旦、中継は終了しました。
その後、中継を受けて、学生はグループディスカッションに移り、再びオンラインで伊藤氏とつないで、震災のことを後世に伝える意義等について語っていただきました。そして、現在南三陸町が取り組んでいる先進的な事例についても言及。伊藤氏は最後に「私たちはいま災害と災害の間である”災間”にいる」と語られ、講義は終わりました。その後、質疑応答に移り、活発なやり取りがありました。
以下、学生の声です。
- 今日の授業にて、過去の経験や学びを現在、未来に伝えていかなければならないという話と、災害を受けた街でも若い世代は経験していないから忘れられてきているという話が印象的でした。誰かが伝え、学ぼうとしないとまた忘れていってしまうと気付かされました。また、高野会館にて従業員の行動により多くの人々を救うことができたことより、その時その時の最善の選択、行動を尽くした結果であろうと仰っており、印象に残っています。私たちは災間に生きると学んだように、自分自身も、積極的に知ろうと行動したり普段からの身近な備えというものを大事にしたいと思います。
- 写真や動画で東北の様子を見たことはあったが、リアルタイムの映像として見たことはなかったため新鮮だった。グループの仲間が「工事で重機に取り壊されたような状況だ」と言っており、本当にそうだなと共感した。重機ほどの威力が津波にあったと思うと、水や海に対する恐怖心が芽生えるのが自然だと感じる。しかし、東北の人たちにとって海は生活の一部であり、生業として海に関わっている人もいる。そういった人たちが、現在どのように仕事と向き合っているのかお話を聞いてみたいなと思った。また、他のグループの質疑応答の中で、コミュニティが作れないというお話を聞いた。私はこれまで、南三陸は震災という困難を皆で乗り越えてきたため、地域のつながりは強いのではないかと考えていた。しかし、人口減少や流出、コロナの影響、震災を知らない世代が増える中で、ますますコミュニティの力が弱まっているという現状を知った。そして、それに対する取り組みとして、地域外の人々との交流を大切にしていると伺った。私はこれまで地域外に目を向けるよりも地域に住む人の意見をどれだけ拾うことができるかが重要だと考えていたが、地域外との交流が生み出す効果も多くあることを知り、新たな学びとなった。