経済学部の学生チームが行動経済学会「ポスター報告奨励賞」を受賞
2025年12月12日から14日にかけて開催された「行動経済学会第19回大会」において、本学経済学部の杉本七星さん(代表)を中心とする学生チームが、行動経済学会ポスター報告奨励賞(学部生部門)を受賞しました 。
【受賞メンバー】 杉本七星、伊藤愛美、小野木勇和、加藤秀明、木下和磨、木村仁咲、黒岩凛、小林愛、品田美咲、須藤奏美、中田颯太、松本寛人(創価大学経済学部12名)
① 行動経済学会第19回大会とは
行動経済学会は、経済学に心理学などの知見を融合させ、人間の意思決定のメカニズムを解明する「行動経済学」の研究・発展を目的とした学術団体です 。第19回大会では、全国の大学から数多くの研究が発表されました。本賞は、若手研究者の育成と顕彰を目的として設けられたもので、今回は学部生部門の46件に及ぶポスター報告の中から、厳正な審査を経て選出されました 。
② 実社会の課題に挑む実証分析
受賞の対象となった論文は、「Web 情報源の提示と意思決定 ―救急要請判断の実証分析―」です 。
近年、生成AIによる医療判断支援への期待が高まっていますが、AIがもっともらしい嘘をつく「ハルシネーション」は深刻な課題です。本研究では、「救急車を呼ぶべきか」という緊急性の高い場面において、AIがその判断根拠(公的な情報源のURL)を提示することが、人間の意思決定にどのような影響を与えるかを実験的に検証しました 。
研究の結果: AIが「救急車を呼ばないべき」と誤った助言をした際、判断根拠(公的な情報源のURL)が併記されていると、利用者はリンク先を確認せずにAIの判断を過信し、利用者の誤った判断を下す割合が統計的有意に増加することを明らかにしました。
本研究の意義と示唆:本研究は、透明性を高めるための「情報源の提示」が、かえって利用者の「リンク先の合理的無視」や、権威ある情報源という「顕著な要素の過大評価」を助長し、批判的思考を停止させてしまう可能性を実証しました。これは、生成AIの精度向上だけでなく、人間がAIの情報をいかに解釈するかという「認知プロセス」に基づいたUI/UX(ユーザーインターフェース)設計が、命に関わる領域において極めて重要であることを示唆しています 。
③教員から一言
「今回の受賞は、学生たちが現代社会の重要課題である『AIと人間の共生』に対し、行動経済学の手法を用いて真摯に向き合った結果です 。特に、一見正しいと思われる『根拠の提示』が裏目に出る可能性を、300名規模のオンライン実験という緻密なデザインで証明した点は非常に鋭い洞察でした 。本学経済学部(来年度より経済経営学部に統合)では、理論を学ぶだけでなく、データに基づき社会の幸福や安全にどう役立てるかを考える実証的な教育を重視しています 。学生たちがこの経験を糧に、客観的なデータに基づき、生活者のための社会を構想できる人材へと成長することを期待しています。」