留学体験(影山 清さん・スペイン・アルカラ大学)

スペインのアルカラ大学に留学されていたそうですね。

 2022年の9月から10カ月間スペインの首都であるマドリッドに位置するアルカラ大学に留学していました。アルカラは大学都市として街全体が世界遺産に登録されているとてもきれいな場所でした。

なぜ、その国・大学を選びましたか?
 
 スペインを選んだ理由は主に2つです。1つ目はスペインがサッカーの本場だからです。私は6歳の頃から15年以上サッカーを続けており、その本場であるスペインでサッカーを観戦したい、サッカーの文化に触れたいという思いがありました。二つ目は第二外国語としてスペイン語を学びたいと思ったからです。留学前は英語学習に力を入れていましたが、英語だけでなく多言語を学ぶことでより多くの人と繋がりたいと考えました。またスペイン語話者数は世界でも3本の指に入るほど多く、中国語とは違い多くの国で公用語になっていることからスペイン語を選択しました。
 アルカラ大学を選んだのは留学期間が10カ月であったこととスペインの首都に位置し国際性が豊かであったことが理由です。

留学中に、人々の距離の近さに驚いたそうですが?

 現地の人々は日本人に比べてとても距離が近いと感じました。まず挨拶ですが男性同士の場合ハンドシェイクやグータッチをし、女性同士・異性の場合は両頬にキスをするのが習慣です。現地では当たり前ですが日本人の感覚からすると初めは少し緊張しました。またバスに乗っていた時、車が数秒停車したかと思えばバスの運転手同士がすれ違いざま身を乗り出して会話をしていました。日本ではあり得ない光景でしたが明るく陽気なスペイン人の特徴が表れているなと実感しました。現地の友達と関わっていて驚いたことはとにかくみんな話すのが好きということです。カフェに数人で行くと3、4時間は当たり前に話し続け、バーに行っても一杯頼むごとに1時間ほど話すこともありました。スペイン人の陽気で人との繋がりを大切にする文化を感じた経験でした。

留学中は、サッカーが楽しかったそうですね。

 現地では寮の友人が作ったサッカーチームに所属し、1年を通してリーグ戦を戦いました。現地での生活が始まってすぐに参加したので、当初全くスペイン語が話せずメンバーとのコミュニケーションの部分で少し不安がありました。ですが一度プレーが始まるとそこに言語の壁は無く、共にプレーをする中で自然に意思の疎通ができました。そしてサッカーを通して多くの友好関係を築くことができ、帰国前には数人のメンバーとバルセロナに旅行に行きました。言語や文化の違いはあれどサッカーという1つの共通点で繋がり、関係を築くことができると学んだ経験でした。

留学中に、寮の友人とのコミュニケーションに苦労したとお聞きしましたが

 私が過ごした寮では8人が1つのハウスで暮らしており、私以外はスペイン人6人チリ人1人という環境でした。そして彼らはあまり英語が話せず私も全くスペイン語が話せなかったため意思の疎通が簡単ではありませんでした。ですが彼らは私が唯一のアジア人であるからと言って仲間はずれにするのではなく他の友人と同じように接し、どこに行くにも誘ってくれました。私としても言語の壁に弱気になるのではなく、現地のコミュニティに入れることは幸運だと喜んで参加しました。その結果、初めは簡単な英語で会話をしていましたが徐々にスペイン語で会話できるようになり彼らとの関係性も深まっていきました。初めはアウェイな環境に苦労しましたが、その結果多くの成長があり現地でしか築くことのできない人間関係を築くことができました。
 

留学していちばんよかったのは、人とのつながりの大切さに気付いたことだそうですね

 スペイン人は陽気で明るいというイメージがあると思いますが、その要因は人との繋がりを大切にする文化にあるのだと留学を通して感じました。多くの日本人が想像する通り、現地の人々は陽気で楽観的に生きているように見えました。とにかく祭ごとが多く常に何かしらのイベントがある上に、そのイベントに向けて学校や仕事が休みになることは少なくありません。サッカーへの熱狂度合いも段違いで、W杯の時には常にお祭り騒ぎという状態でした。このように陽気に人生を楽しむ国民性にはどのような要因があるのかと考えたところ、彼らの人との繋がりを大切にする文化が関係しているのではと思い当たりました。前述した通りスペイン人は皆話すのが好きで日本人に比べて誰かと一緒に過ごす時間が多い印象がありました。ルームメイトの一人が実家の愛犬を亡くしたときには別のルームメイトがハグをして泣いている彼を励ましていました。楽しいことも悲しいことも、家族や友人、恋人など大切な人とそれを共有しお互いに励まし合う。そのようなコミュニティが、彼らの人生を豊かにするキーなのだと思いました。私も彼らのコミュニティで10ヶ月間過ごしたくさんの人と出会った結果、人と話すのが好きになりより多くの人と関わりたいと思うようになりました。スペインという場所に留学し寮を通して現地のコミュニティに入ることができたからこそ得られることの出来た唯一無二の学びでした。
 

これから留学を目指す後輩達に一言お願いします。

 就活のエピソードづくりのために留学をするという話がありますが、留学は就職活動のような一時的なものの為ではなく、自分の人生の価値観を変え得る大きな経験です。そのためインターンやボランティアに参加しなければいけない、何か特別なものを学ばなければいけないと気負いするのではなく、自分のやりたいことをやるのが1番だと思います。その結果遊んでばかりになっても、そのおかげで一生涯の友人ができれば唯一無二の経験です。とにかく恐れず全力で楽しむことが大切です。ぜひ留学に挑戦して人生最高の思い出を作ってください。

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