この夏、学生の皆さんに読んでもらいたい、触れてもらいたいもの(推薦作品一覧)2021

Newsで発信している、文学部教職員・文学部生による「この夏、学生の皆さんに読んでもらいたい、触れてもらいたいもの」(2021)の作品をまとめました。

書籍

伊藤貴雄 教授推薦:『ドレの神曲』  ダンテ著・ドレ画   谷口江里也訳
今年9月14日はダンテ没後700年。『神曲』の主要部分を、フランスの画家ドレの荘厳でドラマティックな版画とともに楽しんでみませんか。読むというよりも、観る神曲!


伊藤貴雄 教授推薦:『シュリーマン旅行記 清国・日本』 シュリーマン著  石井和子訳
トロイア遺跡を発掘した考古学者シュリーマン。彼は幕末の日本を訪れ、旅行記を残しました。八王子にも一章を割いています。あのシュリーマンがなぜ八王子に? それは読んでのお楽しみ。


平林香織 教授推薦:『天井の葦』上・下 太田愛  角川文庫
作者はTVドラマ『相棒』の脚本家としても活躍。軽快なテンポとあっと驚く急展開によって、読者をぐいぐい牽引。言論の自由と正義について考えさせるミステリー。


平林香織 教授推薦:『言葉の園のお菓子番 見えない花』 ほしおさなえ  だいわ文庫
書店員の職を失った失意の主人公が、亡き祖母の趣味だった〈連句〉の世界に足を踏み入れ、立ち直っていくまでを描く。〈連句〉と和菓子のすばらしさが伝わる。


蝶名林亮 准教授推薦:『パラドックス』 中村秀吉  講談社学術文庫
哲学的な問いを本格的に考えたい人に手に取って頂きたい本です。順を追ってじっくり考えながら読むことが求められる一書です。この本の著者は、「哲学的な問いはパラドックスの形に昇華されて論じられるべきである」という考えを持っていますが、私もこの意見に賛成です。哲学は、われわれが日常的に信じていることから導かれるパラドックスに気がつき、それに対してどう答えるか探究する営みだと思います。
 

蝶名林亮 准教授推薦:『風の便り』 太宰治  利根書房
太宰治の短編小説集です。青空文庫でも公開されているので読みやすいかもしれません。『人間失格』とはまた異なる雰囲気の作品集になっています。この本に収録されている「律子と貞子」という短編、自分は太宰の意見に賛成でした。皆さんはどう思われますか・・・?後半に出てくる聖書の一節についても、太宰の意図が気になるところです。


蝶名林亮 准教授推薦:『ハイラスとフィロナスの三つの対話』 ジョージ・バークリ  岩波文庫
哲学にはたくさんの古典がありますが、個人的にお勧めなのがアイルランドの哲学者・バークリです。私は彼が行き着いた結論を受け入れることはできませんでしたが、彼の示した議論には説得力を感じました。そして、「うーん・・・」と唸ってしまいました。このような「うーん、どう考えたらいいのか・・・」と唸ることが、哲学の醍醐味ではないかと思っています。皆さんはバークリの議論と結論、唸らずに受け入れたり拒絶したりできるでしょうか?
蝶名林亮 准教授推薦:100万回生きたねこ 佐野洋子  講談社
ある哲学者は、この本は幸せについての作品だと論評していました。自分は、幸せというよりも、この絵本で描かれているのはこの世界の悲しみであるように感じてしまいました。


フィスカーネルセン・アネメッテ 准教授推薦:'On the Shortness of Life: Life is Long If You Know How to Use It'  Essay by the Roman Stoic Philosopher Senaca. (セネカ、中澤務訳、『人生の短さについて 他2篇 (古典新訳文庫) 文庫 』、2017)
As relevant and contemporary as it was 2000 years ago: about how we spend most of our time not living it but occupied by being somewhere else or spending it on unimportant matters.


寒河江光徳 教授推薦:『映画術』 塩田明彦  イースト・プレス
塩田監督がヒッチコックの『映画術』を紐解きつつ、自身の映画技法を種明かしする。特にヒッチコックの『サイコ』の「目」を描くシーンは読み応えがあります。


寒河江光徳 教授推薦:『飛族』 村田喜代子  文芸春秋社( 2019)
谷崎潤一郎文学賞受賞作。ナロトロジー、焦点化の視点からこの作品を読むと面白いかもしれない。
文学部3年生Y.K.さん推薦:『グラスホッパー』 伊坂幸太郎 (角川文庫、2004年)
 映画化もされている、殺し屋達の話。それぞれの人物の視点から物語が進んでいき、最終的に1つに集まる書き方が物語の世界に引き込まれます。
文学部3年生Y.K.さん推薦:『マリアビートル』 伊坂幸太郎 (角川文庫、2010年)
『グラスホッパー』の世界の数年後が舞台。前作で登場した主要人物も出てきます。『グラスホッパー』同様、伏線や登場人物のエピソードの拾い方が秀逸です。


文学部4年生S.I.さん推薦:『虐殺器官』 伊藤計劃 (ハヤカワ文庫JA、2007)
9.11以降の世界を舞台にしているSF小説で、アニメ映画化もされています。主人公は大規模虐殺を引き起こした主犯の男を追っていく米軍大尉。テロの本質について踏み込んでいく事細かな描写は、読者の想像力を強く刺激します。
 
文学部4年生Y.K.さん推薦:『思考の整理学』 外山滋比古 (ちくま文庫、1983)
自分から学び自分で考える力を持てというメッセージが伝わる文章です。書かれた時よりも情報社会が発展した今だからこそ、改めて読み直したい内容に感じます。著者による例えや文章の言い回しが面白く、読みやすい一冊です。


文学部4年生A.N.さん推薦:『たゆたえども沈まず』 原田マハ (幻冬舎文庫、2017)
フィンセント・ファン・ゴッホと林忠正の有り得たかもしれない物語を描いているところにわくわくやロマンを感じます。彼らの芸術に対する思いなどが文章からひしひしと伝わり、とても感動したのでオススメです。絵画に興味がある人もない人も引き込まれるストーリーだと思います。
文学部4年生A.H.さん推薦:『リーバス』 湊かなえ 講談社文庫(2017年)
中盤からの穏やかな展開に拍子抜けしますが、最後の最後にポンっと真実が告げられ、急に終わって突き放された後の余韻が印象的です。そのあとコーヒーに蜂蜜を入れて飲みたくなります。

映像作品

伊藤貴雄 教授推薦:ヴァーチャル美術館(美術)
ルーヴル、メトロポリタン、エルミタージュ…。世界の美術館はいま、ヴァーチャル鑑賞が可能になっています。「モナ・リザ」も筆のタッチまでわかります。ちなみに、ダ・ヴィンチはこの絵のあちこちに暗号を記しているそうですよ。


平林香織 教授推薦:『ソウルフル・ワールド』 ディズニー/ピクサー制作長編アニメ (ピート・ドクター監督)
魂と心と体の関係について問いかける作品。ジャズピアニストで中学校の音楽教師である主人公が、人生の意味を発見していく。映像と音楽が心にしみわたる。


フィスカーネルセン・アネメッテ 准教授推薦:'I Am Not an Easy Man' (2018) - A French romantic drama on Netflix
This film makes you think about how culturally constructed gender is and the consequences of confining human experience so narrowly to gender norms.


寒河江光徳 教授推薦:『月光の囁き』 塩田明彦監督 (映画)
人を好きになる苦しみがえぐられる。マゾッホの『毛皮を着たビーナス』と比較してみるのも面白いかもしれない。


寒河江光徳 教授推薦:『自由の幻想』(Le Fantôme de la liberté ) ルイス・ブニュエル監督(1974)
シュール・レアリスムとは何かを理解するために必見の作品。


寒河江光徳 教授推薦:『英国式庭園殺人事件』 ピーター・グリーナウェイ監督(1982)
奇妙なプロットと映像的美が結合する。


文学部3年生H.M.さん推薦:『ヘアスプレー』 アダム・シャンクマン監督 (映画・2007年)
1988年に映画化された作品の劇場ミュージカル版の再映画化。人種差別や体型の違いなど現代で考えるべき問題を、音楽を通して楽しく考えられるようなところに感銘を受けました。
文学部4年生M.A.さん推薦:『チャーリーとチョコレート工場』 ティム・バートン監督 (映画・2005年)
とても貧乏な暮らしをしている主人公のチャーリーが、ある日、ウィーリー・ウォンカのチョコレートから、工場へ招待される「ゴールドチケット」を手に入れます。そこで、チャーリーは、様々な子どもと出会い、さらに、ウィーリー・ウォンカと出会ったことで、様々に心が変化していきます。この作品は、ティム・バートン氏の独特な表現と共に、教育的なメッセージが込められている実に素晴らしい作品です。少し不気味な部分もありますが、それ以上に楽しく面白いストーリーなので、オススメです。


文学部4年生Y.T.さん推薦:『ゴースト/ニューヨークの幻』 ジェリー・ザッカー監督 (映画・1990年)
純愛ラブストーリー。殺された男がゴーストになり、その男の婚約者を狙う犯人達に立ち向かいます。霊媒者との関わり合いも実に笑える作品。ラブストーリーとコメディを上手く掛け合わせています。

 
文学部4年生K.H.さん推薦:『アヒルと鴨のコインロッカー』 中村義洋監督(原作:伊坂幸太郎) 映画・2007年
最後の「神様に見て見ぬふりしてもらおう」というセリフが印象的。序盤のシーンから伏線がちりばめられています。作中で神様とされるボブディランがなぜ神様で、主人公たちは見て見ぬふりをしてもらいたいのか……。最初から最後まで目が離せない作品。


文学部4年生H.G.さん推薦:『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ(映画)
とにかく見てほしい。きっとジャック・スパロウのことは“キャプテン”・ジャック・スパロウと呼ばなければ気がすまなくなってしまうと思う。


文学部3年生A.T.さん推薦:『蛍火の杜へ』 大森貴弘監督 (映画・2011年)
夏目友人帳の作者である緑川ゆき原作であり、アニメ「夏目友人帳」のスタッフによって制作されたアニメーション映画です。毎日映画コンクールアニメーション映画賞を受賞しました。触れると消えてしまう、人でも妖怪でもない不思議な存在の少年「ギン」と、人間の少女「竹川蛍」との、優しくて切なくて、儚い恋の物語です。見ると二人の姿に胸がぎゅっと締め付けられ、自然と涙が出て感動する作品です。
文学部3年生Y.K.さん推薦:『THE GREATEST SHOWMAN』 マイケル・グレイシー監督 (映画・2017年)
ミュージカル映画なので、観た後の余韻がすごいです。夢に向かって諦めず頑張ろうと思える映画です。

音楽

倉橋耕平 准教授推薦:Public Enemy - Fight The Power (2020 Remix) feat. Nas, Rapsody, Black Thought, Jahi, YG & QuestLove(2020年)https://youtu.be/nNUl8bAKdi4
スパイク・リー監督の映画『Do the Right Thing』(1989)の主題歌の2020年版。アメリカでBlack Lives Matter運動が広がり、それに応答する形でリリースされた。女性ラッパーも迎えて、名曲が新たな装いでリリースされたわけだが、Public Enemyと女性が一緒に歌うなんて89年には考えられなかったこと。BLMの映像も入っているビデオも秀逸。


倉橋耕平 准教授推薦:あっこゴリラ - ウルトラジェンダー × 永原真夏(2017年)
https://youtu.be/0LEoIqqw2zk 
フェミニストを公言するラッパーあっこゴリラのフェミニズム文化批評感あふれるラップ曲。メジャー1stアルバムの「GRRRLISM」も最新の「NINGEN GOKAKU」もめちゃめちゃいい。新曲「神器 dig it」のテーマは、、、ここでは言えない。が、もちろん圧倒的にフェミニズム。


倉橋耕平 准教授推薦:Moment Joon - Passport & Garcon(アルバム、2020年)
https://youtu.be/2tstbd0901E
ソウル出身、大阪大学大学院の学生、ラッパーのMoment Joon。日本社会で外国人として生きること、また排外主義が激しくなる昨今韓国人が日本で生きることで受ける差別や蔑視、そしてそれへの抵抗を日本語、韓国語、英語で熱く歌い上げているのが最高にかっこいい。気に入ったら、「IGUCHIDOU」という曲の冒頭で彼が自宅住所を言っているので、遊びに行ってください。


伊藤貴雄 教授推薦:ヴィヴァルディ作曲『四季』から「夏」(音楽)
超有名曲ですが、新しい楽しみ方を2つ紹介します。①聴き比べる。演奏者が異なると別の曲に聴こえます。②曲にそえられた詩を読みながら聴く。猛暑をこんなふうに音で描くのか…と思う一瞬だけ猛暑を忘れます。


平林香織 教授推薦:谷山浩子と栗コーダーカルテット『ひろコーダー☆栗コーダー』(ヤマハミュージックコミュニケーションズ)
NHKみんなの歌の「花さかニャンコ」などで知られる谷山浩子とピタゴラスイッチのオープニング曲の栗コーダーカルテットがコラボ。心が弾むような楽曲満載。


蝶名林亮 准教授推薦:Queen’s Fellows: Yuming 30th Anniversary Cover Album  (EMIミュージック・ジャパン)
創価大学といえば八王子。八王子と言えばユーミン。最近、ご実家の呉服店の店頭に立って接客していたという噂も。このアルバムはユーミンこと松任谷由実のデビュー30周年を記念して作成されたカバーアルバムです。かなり豪華な顔ぶれがユーミンの名曲をカバーしています。個人的にはやっぱりスピッツの「14番目の月」は外せませんが、他にも聞きどころ満載の一枚だと思います。aikoの「セシルの週末」も椎名林檎の「翳りゆく部屋」も本人たちのオリジナル曲のように聞こえてきて、ユーミンの描く世界は果てしないと感じました。


寒河江光徳 教授推薦:『The Melody at night with you』 Keith Jarrett (1999)
アルバム名を直訳すると、「君と過ごす夜に流すメロディー」。キース・ジャレットの名盤です。’I Loves You, Porgy’が有名です。


寒河江光徳 教授推薦:『Kind of Blue』  Miles Davis (1959)
マイルス・デイヴィスのバンドがHard of Style に留まらずMode Jazzに移行する過程が窺い知れる。このアルバムに参加したビル・エヴァンスやジョン・コルトレーンがMod of Jazzを進化させたと言われる。


寒河江光徳 教授推薦:『RELAXIN’ WITH THE MILES DAVIS QUINTET’』 Miles Davis Quintet (1958) 
マイルス・デイヴィス・クインテットのスタジオアルバム、中音域のバラードは日頃の疲れを癒やしてくれるに違いない。


文学部3年生A.T.さん推薦:「PINK BLOOD」宇多田ヒカル (2021年)
アニメ「不滅のあなたへ」の主題歌です。この曲を聴くと自分には価値があるのだと思え、自己肯定感が高められ、元気が湧いてきます。歌詞には自分自身を大切にしようという思いが込められており、自己愛がテーマになっています。心に優しくそっと寄り添ってくれるような曲です。歌詞がとても良いので、歌詞を見ながらじっくり聴くことをお勧めします。また、アニメ「不滅のあなたへ」もぜひ見てほしいです。


文学部4年生Y.K.さん推薦:「Stay Gold」 BTS (音楽・2020年)
Dynamiteで爆発的な人気を得たBTSの日本語曲。いいことばかりじゃない世の中でも私だけの輝きを忘れずに生きて、というメッセージが込められています。とにかく励まし続けてくれるBTSは、聞き始めると沼です…。


文学部4年生K.H.さん推薦:「硝子の少年」 Kinki Kids  (音楽・1997年)
どこか懐かしい曲調です。歌詞のいたるところに「硝子」や「ビー玉」といった表現が散りばめられています。少年が失恋に対して悲しんでいるようですが、歌詞を辿ると、大人になって少年時代の失恋を振り返っているような歌にも聞こえます。文学的に考えるとより魅力的な曲です。
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