小林孝次 教授

担当授業について

 私がいま担当している科目は、経済数学入門A、マクロ経済学、そして金融論です。
 
 皆さんのなかには、数学が好きだから経済学部を選んだという人もいれば、数学が嫌いなので文系を選んだのに、経済学部では数学が必要で大変だと思われている方もいらっしゃるでしょう。どちらも心配はありません。

 前者に関しては、大学院以上の研究者の世界では、美しい数学理論の世界に浸ることもできます。そうした世界を十分に堪能していただきたいと思います。

 一方、後者に関しては、経済学部、すなわち学部教育のレベルで経済学を学ぶうえで必要とする数学は、これまで皆さんが学んできた数学のうち、ごく一部です。必要なところだけ、復習、解説をして進めていきますから安心してください。

 数学が嫌いになってしまった人は多く場合、高校までの授業において、学んでいる数学が将来、どこでどのように使われるのか示されることがなかったからではないでしょうか。未消化のまま、授業だけどんどん先に進んでいき、取り残された感があるからなのではないでしょうか。この授業では、経済学を語るにこんなに数学が役立つということを示してみたいと思います。それも簡単な数学を使って、経済を語るということです。

 たとえば、需要と供給の話が経済学の基本だということはご存じでしょう。そこでは、需要曲線と供給曲線の交点で市場の均衡が求まり、実際に取引される価格や取引量が定まるということが出てきますね。このことは需要曲線、供給曲線を表す式からなる連立方程式を解くことに対応しているわけですね。
 マクロ経済学については、詳細は2023年2月に発刊された『人間主義経済×SDGs』で金澤先生がまとめられているので、それをお読みください。簡単に言えば、国全体としての経済活動の仕組みを学ぶものです。将来、世界のリーダーとなっていく使命ある皆さんには、必須の科目ではないかと思われます。とはいっても若いうちはなかなか社会全体への関心が持ちにくく、もしかするととっつきにくい科目かもしれません。そこで、こちらも経済数学入門同様、ステップバイステップで学んでいきますので大丈夫ですよ。心配はありません。私が研究者になりたての頃、『だれでもわかる…経済学』というシリーズがよくありましたが、経済学は私たちの身の回りの生活の仕組みを整理したものですから、順に勉強していけば、きちんと頭に入ると思われます。

 一方、世の中にはいろんなタイプの人間がいて、社会があり、様々な経済活動が行われているわけです。それを整理して扱う(きちんと言えば、現実を分析し、問題解決の方策を提起する)のが経済学であるから、そんなに易しいはずはないかもしれません。経済学は「難しいからこそ面白いのだ」とおっしゃっていた大先輩の先生を思いだします。易しい・難しい、どちらも真実かと思います。
 
 金融論については、前述の『人間主義経済×SDGs』をみていただくか、「授業紹介:金融論」のページがありますので、そちらを参照してください。
 
 これらは、学部時代に経済学の基礎として身につけておく科目なので、“皆さんが普通にやれば、誰でもわかる”ようにと、教員としては心して取り組んでいます。経済学というと難しいイメージがありますが、皆さんと一緒に勉強していくなかで「分かった!」と実感できるような授業にしていきたいと思っています。

研究者として

 私にとって幼いころの経済学との関わりといえば、母と買い物に行くたびにいつもレジの前で、おつりの計算を店員さんと争ってしていた記憶がありますね(昭和の時代ですから)。その後、浮き沈みの激しかった高校時代には、自分が過ごしてきたそれまでの成長の軌跡・浮き沈みをグラフに描きながら、これを三角関数で表したらどんなふうになるのかなどと考えたりもしていました。これはまさしく景気循環の研究の芽生えだったのかもしれませんね。ちょっとかっこつけすぎですかね。

 いずれにしても、研究者になるにあたっては、私は幸運にも多くの諸先生方や諸先輩から、数多くの手ほどきを受けることができました。

 勉強不足であった私は、大学院時代、テキストや論文を読んでもなかなか理解できずにいました。そうした折、ある先輩から、「あなたはその文献を何回読んだの」といわれました。「1回や2回読んでわからないのは当たり前だよ」と。「10回読んでわからなければ、しょうがない。書いてあることが間違えているのかもしれない。そうでないうちにあきらめるのは、頭が悪いのではなく、怠け者だよ」と。今でもその当時のことをよく思い出しますが、振り返ってみると全くそのとおりだと思います。

 研究所時代は、指導教授から「私も毎日出てくるから、朝9時から夜11時までは勉強しよう」とおっしゃってくださり、ゼロから教えを乞うことができました。ある先生からは、しばしばご自宅に呼ばれ、ときには年末の大晦日にもかかわらず、夜遅くまで1つ1つ教えていただいたことも懐かしい思い出です。

 学部時代は、当時としては最先端といえる「計量経済学」のゼミに、私は所属していました。そこでその後も理論と実証の世界を主として研究してきました。時系列分析を用いた貨幣を中心とした変数間の統計的因果関係の分析、それからバブル経済やその後の平成の日本経済、アベノミクスについての分析などが主な研究分野です。

教員として

 いま教員となって、どこまでこうした先輩や先生方に恩返しができているかと思うと、恥ずかしい限りですが、私は研究所に務めた後、アメリカで学び、帰国してから、創価大学に教員として戻ってきました。

 最後に私のゼミについて紹介させていただきましょう。

 教員になりたての頃は、私のゼミのテーマはマクロ経済学でしたので、ゼミ終わりにサブゼミとして公務員試験の勉強会をやっていましたね。とはいっても勉強は初めの1時間ぐらいで、申し訳ないことに、そのあとはお菓子を食べながらの雑談が多かったように覚えています。

 50代ごろからは、金融のゼミになりましたので、現場を知る意味からも、日銀見学や東京証券取引所見学などを積極的に行ってきました。国会見学も含めて、なかなか触れることのない東京見物を楽しんだりしています。

 振り返ってみると、ゼミには個性豊かなメンバーが多かったかと思います。そんなゼミ生から「私たちをどう思われていますか」と聞かれたとき、「おもちゃのチャチャチャ」と思わず表現したことがあります。当時のゼミの様子としては、ある学生は笛を吹き、別な学生は太鼓をたたき、自由勝手に動き回っているが、それでいてまるで1つの音楽を奏でているような感じでしたから・・・。1人ひとりが桜梅桃李の個性を生かし、自分にしかできないオンリーワンの花を咲かせられるよう激励し続けることが私のゼミのモットーであり、伝統でしょうかね。



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