シンポジウム

個・対話・生活 
~子どもの成長をうながす~

日時: 2024年9月28日(土)14:30-17:30
会場: 創価大学・中央教育棟4階 AW404教室

趣意:
学校と社会――この二つの関係性の探究は、デューイ教育学の根本テーマである。もちろん、彼がそれを主題化したときのアメリカと今日の日本とでは、学校をめぐる環境は大きく異なる。しかし、人間の個性は対話の中で磨かれるものであり、この対話は生活上のコミュニケーションによって基礎づけられるという彼の主張は、時代的社会的制約を超えた普遍性を持っている。とくにコロナ禍以後、「学校教育と社会教育の連携・協働」が課題とされる現代日本において、改めて検討すべき意義を有するものと言ってよい。

本シンポジウムでは、富山市立堀川小学校を基調講演者に招き、子どもの成長をうながす協働的な学びについて話していただく。同校は、「自主創造~くらしをみつめ 追究する子ども~」を教育目標に掲げ、「個が育つ教育経営」を実践主標とし、実践記録を多年にわたり蓄積し公開してきた。生活を言語化する対話的な学びを軸に、子どもが自己を見出し発揮するための教育を追究している。その教育研究実践報告会を基にした研究紀要は、今年第95集を数える。個の追究を重んじ、生活発・生活着の教育を通して、子どもの生き方を深めようとする同校の実践は、先述のデューイの主張と深く響き合う。

また、東京都内の公立中学校と私立小学校からパネリストを招き、協働的な学びを重視した教育実践報告をしていただく。川島紀子氏は、大学・博物館等の専門家とともに中学校の理科授業で活用できる教材開発を進め、博物館と学校との連携プログラムを考案してきた。福田聡氏は、同僚とともに小学校の道徳授業でP4C(子どものための哲学)を取り入れた対話型授業を試みてきた。学びのコミュニティを、かたや地域連携を通して学校外に、かたや哲学対話を通して学校内に作り出している。

以上の基調講演や教育実践について、藤井千春氏にデューイ教育論の観点からコメントをいただくとともに、フロアーの参加者との意見交換の場を設け、デューイ教育論の意義や可能性、今後の展開の在り方をめぐって考える機会としたい。

基調講演:石坂友輔(富山市立堀川小学校教務主任)

提題者:川島紀子(文京区立第六中学校教諭)
福田聡(東京創価小学校教諭)
藤井千春(日本デューイ学会会長、早稲田大学教育・総合科学学術院教授)

司会: 吉川成司(創価大学教職大学院教授)

(参考文献)富山市立堀川小学校著/藤井千春・奈須正裕 特別寄稿
『自己をひらく―「個別最適な学び」「協働的な学び」を育む学校文化と授業』明治図書2024