イタリア・ボローニャ大学での国際学会「ANGEL Conference 2026」にて、本学の研究者が欧米研究者と世界市民教育とSDGs推進の取り組みを発表
イタリア・ボローニャ大学で地球市民教育の国際大会が開催
2026年9月10日から11日にかけて、イタリアのボローニャ大学にて、世界市民教育とグローバル学習に関する国際研究ネットワーク(ANGEL:Academic Network of Global Education and Learning)主催の国際大会「ANGEL Conference 2026」が開催されました。大会には世界五大陸から約200名の研究者、教育実践者、政策関係者らが集い、世界市民教育や持続可能性教育のあり方、実践手法等について、平和、人権、気候正義、持続可能性のテーマを含めた最先端の研究や事例について活発な協議が行われました。
本学におけるSDGs主流化とユネスコスクール支援の取り組みを発表
大会1日目(9月10日)に行われた分科会(シンポジウム)「持続可能性と世界市民のための教育:カリキュラム、教授法、多様な知のあり方(Education for Sustainability and Global Citizenship: Curriculum, Pedagogy, and Alternative Ways of Knowing)」(座長:ニューヨーク市立大学ナムラタ・シャルマ博士)にて、本研究所の富岡比呂子副所長(教育学部教授)と掛川三千代SDGs推進センター長(経済経営学部教授)が登壇し、本学の事例を発表しました。発表テーマは「ユネスコスクール支援とSDGs推進のための倫理的フレームワーク:創価大学の事例(An Ethical Framework for Supporting UNESCO Schools and Advancing the SDGs: The Case of Soka University)」です。
前半(掛川 SDGs推進センター長):
本学の「価値創造教育」の理念を基盤に、教職員と学生から構成されるSDGs推進センターを中心とした推進体制や、SDGsを戦略の1本に入れている「創価大学グランドデザイン(2021-2030)」、及びこれらのガバナンスを通してSDGsが大学全体で主流化されているプロセスを報告しました。また、単なる知識修得にとどまらない「倫理的・人間主義的な力」を育む教育基盤としての創価教育の意義や成果を説明し、「THE Sustainability Impact Ratings 2026」のSDGs4(質の高い教育をみんなに)で国内1位を獲得した成果についても共有しました。
後半(富岡 創価教育研究所副所長):
大学の理念や制度が教育実践にどう結びついているかについて、2018年からのユネスコスクール支援活動や2025年の本学のユネスコスクール正式加盟、学生による地域の小学校でのESD授業や生物多様性に関する活動等を紹介しました。さらに、これらを単なる個別の取り組みではなく、理念・制度・学生エンゲージメント・地域連携が相互に関連し合う「制度的エコシステム(institutional ecosystem)」として捉えるモデルを提示しました。
多様な参加者との活発な質疑応答
会場には教員、NPO等の実務者、政策関係者など約30名が参加し、内容の濃い意見交換が行われました。 「『価値創造』(value creation)における『価値』(value)と、社会一般での『多様な価値(values)』は異なるが、創大での価値創造の教育は何を指すのか」との質問に対しては、「価値創造教育は特定の価値を教え込むものではなく、学生自身が持てる力を最大に引き出し、他者や社会との関係性の中でどう価値として生かしていくかを重視する教育である」と説明しました。 また、「学んだ成果をどう社会に還元し、社会変革の力にしていくか」という問いに対しては、創立者池田先生の指針である「英知を磨くは何のため、君よそれを忘るるな」という学生に対する問いかけに触れつつ、一事例として、理工学部の学生が地域企業と協力して酒造りの廃米粉をパンやブラウニーへ転換しフードロス削減に貢献した事例などを紹介し、大学と地域の協働による課題解決の可能性を示しました。
シンポジウム全体の構成と発表タイトル:
本シンポジウムの全体像とタイトルは以下の通りです。
- 座長からのシンポジウムの目的と段取りを紹介
- 「複合危機の時代における価値創造と教育者のエージェンシー:教育イノベーション修士プログラムからの洞察 (Value Creation and Educators’ Agency in a Time of Poly-crisis: Insights from a Master’s Programme in Educational Innovation)」, 発表者:Professor Ana B. García-Varela, University of Alcalá(スペイン)
- 「ユネスコスクール支援とSDGs推進のための倫理的フレームワーク:創価大学の事例 (An Ethical Framework for Supporting UNESCO Schools and Advancing the SDGs: The Case of Soka University)」, 発表者:創価大学 富岡比呂子、掛川三千代
- 「持続可能性と世界市民教育への取り組み:パラダイムシフト (Addressing Education for Sustainability and Global Citizenship (A Paradigm Shift))」, 発表者:Dr. Namrata Sharma, the State University of New York(米国)
- 講評: Magdalena Kuleta-Hulboj, Assistant Professor, University of Warsaw(ポーランド)
- 全体での質疑応答とディスカッション
本学からの発表両者の所感
「今回の大会全体を通して、サステナビリティや世界市民教育を単なる知識・コンピテンシー(能力・実践力)の修得だけではなく、地球市民としての責任や正義感、人権、平和、歴史的責任といった倫理的・価値的な次元から捉え直し、実践を試みている国際的な研究や議論の進展を実感しました。この視点は、本学が推進してきた創価教育や価値創造教育の理念と深く符合するものであり、創価教育の先進性を改めて認識する機会となりました。今回得た知見や多様な参加者とのネットワークを活かし、今後の研究や国際的な教育活動をさらに発展させてまいります」と語りました。