創価大学では女子学生初となるパイロット訓練生として大手航空会社に内定した丸茂澄代さん。パイロットを志したのは就職活動を開始した時だという。専門性の高いイメージがある未知の分野に飛び込み、どのような挑戦をしてきたのか。また、学生時代の経験がどう今に生きているのか。自分の直感を信じて、自分で決めた挑戦に、覚悟と責任を持って挑んできた丸茂さんに話を聞きました。
女子学生初となる大手航空会社運航乗務員訓練生の内定、おめでとうございます!パイロットを目指すきっかけを教えてください
ありがとうございます。4年生の12月、インターンシップ先を探しているときに、パイロットという職種を意識しました。私自身、就職活動をするにあたって3つの軸を決めていました。①海外で働けること、②多くの言語を使えること、③創大生や女性が少ない場所で後輩の道を拓く仕事に就くことです。色々と調べていくと、パイロット職が学部卒でも志望できることを知り、もともと未知の分野に挑戦したいという気持ちが強く、これらの条件にすべて当てはまったのがきっかけで興味を持ち始めました。
とは言っても、パイロットと聞くと専門性の高い職業というイメージが強く、目指すには高い壁のようにも感じますが、丸茂さんがそこに挑戦していけたのはどういう思いからですか?
そう言われることはよくあります。でも、私自身はあまりそのようには感じませんでした。「どんな職業があるのだろう」と、様々な仕事を見ていく中で偶然見つかり、パイロットという職業に「いいな」と憧れを抱きました。直感です。自分が決めた軸に合うと感じたこと、そして、海外旅行や留学を通して、飛行機を使う機会が多かったこと、空港が好きでこんなところで働けたらいいなと思っていたこと、これらの動機も後押しになりました。
また、自己分析を重ねる中で、責任感を持ちながら、チームワークが必要とされる場所で自分力が発揮できたというこれまでの経験を生かしていける職業なのかなとも感じました。このような思いから、多くの方の命を背負うという責任感の中で、場所と場所、人と人を繋ぐ仕事に魅力を感じたのだと思います。
ただ、実際は、航空会社のインターンシップが5日間連続だったため、一週間授業を全て休むことはできず、応募、参加はしませんでした。ですので、これからが挑戦ではありますが、楽しみでもあります。
また、自己分析を重ねる中で、責任感を持ちながら、チームワークが必要とされる場所で自分力が発揮できたというこれまでの経験を生かしていける職業なのかなとも感じました。このような思いから、多くの方の命を背負うという責任感の中で、場所と場所、人と人を繋ぐ仕事に魅力を感じたのだと思います。
ただ、実際は、航空会社のインターンシップが5日間連続だったため、一週間授業を全て休むことはできず、応募、参加はしませんでした。ですので、これからが挑戦ではありますが、楽しみでもあります。
実際にパイロット職を目指しての就職活動はどうでしたか?
12月の段階では流通系の企業を中心に、航空業界も視野に入れて就職活動を開始しました。そこから説明会に足を運んだり、OBOGと会って話しを聞いたりしていくうちに、空で働くことの魅力をより感じるようになりました。特にパイロットの方の声を聞いて、その姿を通して、ますます働きたいという気持ちが強くなっていきました。3月には自然とパイロット職を第1志望と決めていました。
その後、5月からエントリーが始まり、9月に内定をいただくまで4ヶ月間、選考がありました。他の業種に比べて長いほうだったと思います。その間、多くの友人が内定を決めて就職活動を終えていき、気持ちとしては、焦ったり、不安になったり自分自身に負けそうになることもありました。他社のパイロット職の選考に落ちてしまったときは自信を失いかけました。でも、自分で決めた道だったからこそ、最後まで諦めずに〝やってみよう!”という気持ちのほうが強かったのだと、今、振り返ると感じます。第1志望だった内定先の企業理念や、社員を大切にする社風にも惹かれていたので、選考試験で会社を訪問する度に、ここで働きたいという思いが願望から決意に変わっていきました。
その後、5月からエントリーが始まり、9月に内定をいただくまで4ヶ月間、選考がありました。他の業種に比べて長いほうだったと思います。その間、多くの友人が内定を決めて就職活動を終えていき、気持ちとしては、焦ったり、不安になったり自分自身に負けそうになることもありました。他社のパイロット職の選考に落ちてしまったときは自信を失いかけました。でも、自分で決めた道だったからこそ、最後まで諦めずに〝やってみよう!”という気持ちのほうが強かったのだと、今、振り返ると感じます。第1志望だった内定先の企業理念や、社員を大切にする社風にも惹かれていたので、選考試験で会社を訪問する度に、ここで働きたいという思いが願望から決意に変わっていきました。
そもそも創価大学にはどういう理由で進学したのですか?
小学生の時から海外留学への憧れがあったので、大学は、留学に強い大学に行きたいと思っていました。小学校から創価一貫教育を受けてきたこともあって、創立者の池田先生が築かれた交換留学先の大学で勉強したいという気持ちが強かったです。高校時代は勉強にあまり熱心ではなく、ハンドボール部の活動に一生懸命でした。
ある時、創価大学のキャンパスガイドを見ていて、文学部に「言語文化メジャー」があることを知りました。そして、直感的に「面白そう」と興味を持ちました。もともと英語は好きだったので、「言語学」という分野を知ったとき、「人がしゃべる言葉はどうやって生まれたのか、なぜ言語はたくさんあるのだろう」と「言語」に対する興味がどんどん膨らんでいきました。そして、大学で学んでみたいという気持ちになり、言語文化メジャーがある文学部に進学しました。
ある時、創価大学のキャンパスガイドを見ていて、文学部に「言語文化メジャー」があることを知りました。そして、直感的に「面白そう」と興味を持ちました。もともと英語は好きだったので、「言語学」という分野を知ったとき、「人がしゃべる言葉はどうやって生まれたのか、なぜ言語はたくさんあるのだろう」と「言語」に対する興味がどんどん膨らんでいきました。そして、大学で学んでみたいという気持ちになり、言語文化メジャーがある文学部に進学しました。
興味を持った分野で学ぶ中でどんな面白さを感じましたか?
2年生から言語文化メジャーを専攻し、集中的に勉強を始めました。暗記することが中心の高校までの学びと異なり、学問を探究する面白さを感じました。自分から発見して、言語を通してその背景にある文化というものが知れるようになり、勉強することが楽しいと初めて思えるようになりました。
3年生後期からは交換留学生として世界最古の大学とされるボローニャ大学に留学をされましたね。
本当は英語が好きで、アメリカへの留学を目指していました。しかし、留学できるためのスコアが足りず、断念せざるを得ませんでした。でも、〝交換留学をしたい!”という目標が創価大学に進学する動機の一つでもあったので、自分の持っているスコア内で行ける留学先を探しました。英語に近い言語を学べば、別の角度から英語を学ぶことができ、それがより言語の深さや面白さを知ることに繋がるのではないかと思い、古代言語であるラテン語に近いと言われているイタリア語を勉強できるボローニャ大学への留学を決めました。
高校時代、創立者が『特別文化講座「ダンテを語る」』の中で紹介してくださった大学でもあったので、より一層ボローニャ大学に行ってみたいという思いが強くなりました。
高校時代、創立者が『特別文化講座「ダンテを語る」』の中で紹介してくださった大学でもあったので、より一層ボローニャ大学に行ってみたいという思いが強くなりました。
1年間の留学生活ではどのようなことを得ましたか?
英語圏からイタリア語圏に留学先をシフトチェンジしたこともあり、ゼロからのスタートでした。出発前にイタリア語の授業を履修しましたが、ほとんど話せない状態で現地に行きました。
到着して1週間後に語学学校、2週間後に大学での授業が始まりました。でもこのような環境もあまり苦痛には感じませんでした。言葉が分からない状況から、徐々に分かる単語や聞き取れる言葉が増えていき、毎日、成長を感じることができました。そのことが嬉しい、楽しいと思えたのです。何も基礎がないところからだったので、常に、もう上がるしかない!というモチベーションでした。
到着して1週間後に語学学校、2週間後に大学での授業が始まりました。でもこのような環境もあまり苦痛には感じませんでした。言葉が分からない状況から、徐々に分かる単語や聞き取れる言葉が増えていき、毎日、成長を感じることができました。そのことが嬉しい、楽しいと思えたのです。何も基礎がないところからだったので、常に、もう上がるしかない!というモチベーションでした。
一つは、友人との出会いです。ボローニャの街は日本人がいることが珍しいところでした。最初は奇異な目で見られていると感じることもありましたが、授業を通して知り合った友人たちが良くしてくれて、実家にまで迎え入れてくれました。
もう一つは、語学学校の先生との出会いです。文化や思想も違う、うまくイタリア語も話すことができない私に、英語でイタリア語の授業を担当してくれました。留学中ずっとお世話になり、様々な場所に連れて行ってもらいました。
もう一つは、語学学校の先生との出会いです。文化や思想も違う、うまくイタリア語も話すことができない私に、英語でイタリア語の授業を担当してくれました。留学中ずっとお世話になり、様々な場所に連れて行ってもらいました。
ある時、英語とイタリア語が堪能になりたいと思っていた私に、5ヶ国語を駆使して60代になった今でも常に向上心を持って勉強されている先生は、「今、3ヶ国語(日本語、英語、イタリア語)を話せるあなたは、10年したら、さらに3ヶ国語を話せるようになる。そうすると生きている間に10ヶ国語ぐらい話せるようになるよ」と言ってくれたことがあります。この言葉がきっかけで、日本に戻ってから、中国語とポルトガル語の授業を履修しました。
この留学での経験や様々な人との出会いを通して、言語への興味がさらに広がりました。話せる言語が増えれば、それだけ友情を広げることができる。だからこそ、異文化を理解し、受け入れられるようになり、視野が広がっていくことを実感しています。
異国の地から来た一学生のために、ここまでしてくれるのかと感じるほど心を尽くしてくれた方々の思いに触れて、どんな形になるかわかりませんが必ず恩を返していきたいと思っています。
異国の地から来た一学生のために、ここまでしてくれるのかと感じるほど心を尽くしてくれた方々の思いに触れて、どんな形になるかわかりませんが必ず恩を返していきたいと思っています。
そして帰国後、本格的に進路決定に向けての挑戦を開始されたのですね。大学時代の経験がどう生かされましたか?
勉学面では、語学の影響が大きいです。言語を学びたいと思って入学をして、言語の奥深さを知り、そして、イタリア留学を通して、もっと語学を学びたい、多言語が使える仕事に就きたいと思うようになりました。
精神面では、創価大学ワールド会(※1)や女子ハンドボール部、留学生喫茶(※2)などの課外活動を通して、人と関わるときに、〝どうしたら自分が人のために役立てるのか”という視点で物事を考え、行動する機会にたくさん恵まれました。これらの経験が自分の人生を考えるにあたって大きく影響を与えています。
精神面では、創価大学ワールド会(※1)や女子ハンドボール部、留学生喫茶(※2)などの課外活動を通して、人と関わるときに、〝どうしたら自分が人のために役立てるのか”という視点で物事を考え、行動する機会にたくさん恵まれました。これらの経験が自分の人生を考えるにあたって大きく影響を与えています。
就職活動を通して気付いた丸茂さんの強みは何ですか?
新しいことに挑戦する行動力があることです。たぶん、それが好きなのだと思います。直感的に〝これいいな”“やりたいな”と思ったらまずやってみる。興味があり、自発能動だから、最後まで頑張れる。自分で決めたからには責任感や覚悟を持って挑戦していける。そう思えるようになったことは最大の強みだと思います。そして、今の自分があるのは、これまで縁した様々な人の支えや助言があったからこそだと、周囲への感謝の思いを自然と行動にできる自分になれたことです。
実は、他業界の企業から6月に内定をいただいたのですが、パイロットという目標が諦めきれず、内定を辞退しました。その際、自分のおもいを率直に伝えると「隠さず正直に言ってくれたことが嬉しい」と言っていただきました。その後、無事に第1志望の企業から内定をいただいたことを報告した際には、とても喜んでくださいました。そして後日、会食会を開いてくださったのです。この時も一学生のためにここまでしてくださるのかと感謝の気持ちが溢れ、このように応援してくださる方々のためにも、自身の置かれた場所で結果をもってご恩返しをしたいと決意しました。
私の周りには、〝後輩のために”と行動する先輩がたくさんいて、そういう方々の姿から心を感じて、自分もそうなりたいと思えるようになりました。思えたからこそ、行動できるようになりました。すべての場所でこの気風があるのが創価大学だと感じます。
実は、他業界の企業から6月に内定をいただいたのですが、パイロットという目標が諦めきれず、内定を辞退しました。その際、自分のおもいを率直に伝えると「隠さず正直に言ってくれたことが嬉しい」と言っていただきました。その後、無事に第1志望の企業から内定をいただいたことを報告した際には、とても喜んでくださいました。そして後日、会食会を開いてくださったのです。この時も一学生のためにここまでしてくださるのかと感謝の気持ちが溢れ、このように応援してくださる方々のためにも、自身の置かれた場所で結果をもってご恩返しをしたいと決意しました。
私の周りには、〝後輩のために”と行動する先輩がたくさんいて、そういう方々の姿から心を感じて、自分もそうなりたいと思えるようになりました。思えたからこそ、行動できるようになりました。すべての場所でこの気風があるのが創価大学だと感じます。
それでは最後に今後の抱負を教えてください!
私は4月から地上業務研修を受け、経験を積み、その後、アメリカでの訓練と続きます。そして帰国後には本格的に旅客機を操縦するための訓練が始まります。大きな責任を伴う職業だからこそ、常に試験があります。パイロットになる第1歩を踏み出せる今、常に学び続け、創価大学初の女性パイロットとして活躍できる日を目指して頑張ります。そして、今後も後輩の道を拓いていけるよう、自分を信じ抜いて挑戦していきます!
あともう一つ!密かに“宇宙に行きたい”という夢もあります。いつになるか、どういう形になるかは分かりませんが、この目標も実現できるように、まずは目の前のことに着実に挑み、私の姿と行動で、夢や希望を発信できる、そんなパイロットになります!!
(※1)在学中に3カ月以上の長期留学経験がある学生の有志による団体です。中央教育棟6階の留学情報ステーションで、これから留学を目指す後輩の留学相談に応じ、留学希望者の立場に立ったきめ細かいサポートを行っています。
(※2)創大祭期間中、世界中から集った留学生たちが世界の味をお届けする模擬店の運営を行います。
あともう一つ!密かに“宇宙に行きたい”という夢もあります。いつになるか、どういう形になるかは分かりませんが、この目標も実現できるように、まずは目の前のことに着実に挑み、私の姿と行動で、夢や希望を発信できる、そんなパイロットになります!!
(※1)在学中に3カ月以上の長期留学経験がある学生の有志による団体です。中央教育棟6階の留学情報ステーションで、これから留学を目指す後輩の留学相談に応じ、留学希望者の立場に立ったきめ細かいサポートを行っています。
(※2)創大祭期間中、世界中から集った留学生たちが世界の味をお届けする模擬店の運営を行います。
PROFILE:
まるも すみよ Sumiyo Marumo
[好きな言葉]
「冬は必ず春となる」
「Chi trova un amico chi trova un tesoro(友達を見つけた者は宝物を見つけた者)」
[性格]
長時間悩まない、悩むより行動する、楽観的
[趣味]
読書、ヘッドフォンで音楽を聴くこと
[最近読んだ本]
喜多川泰『秘密結社Ladybirdと僕の6日間』、大宮エリー『猫のマルモ』
ページ公開日:2018年03月15日