「本当の“知”は裏にかくされている」。NHKの番組「ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪」のうたい文句です。毎回、全国各地の様々な施設の「バックヤード」を訪ね、そこに隠されている面白さを紹介する番組です。この伝で言えば本学の自然の本当の豊かさは裏山にかくされている。そこには湧き水が流れ、野鳥が水浴びにやってきます。武蔵野の雑木林に生息する植物や昆虫に出会うことができ、金蘭などの貴重な絶滅危惧種も生息しています。20年以上キャンパスの自然観察を続けている今でも毎年新たな発見があるワンダーランド。あたかも「本当に知りたいのなら少しずつ丹木の自然の秘密を教えてあげるよ」と言われているかのようです。この貴重な自然を守り伝えるために本欄を綴っていると言っても過言ではありません。ところで「バックヤード」はいわゆる和製英語で、本来の英語の意味は家の「裏庭」。芝生などが植えられている目立たない場所です。美術館や動物園でスタッフしか立ち入れないような場所を差すなら、off-limits area や restricted area になるでしょうか。「ザ・裏庭」。英語圏の人が聞いたら、日本の公共放送には個人宅の裏庭を紹介するシュールな番組があるのかと驚くかもしれません（笑）。