創大Days

2023年05月16日

丹木の歳時記2023 皐月(二)

創大Days編集部

「いちはつの 花咲きいでて 我目には 今年ばかりの 春行かんとす」。正岡子規が明治34(1901)年5月に読んだ和歌です。「いちはつ」はこの時期に花を咲かせるアヤメ科の植物。不治の病とされていた結核を患い、起き上がることさえままならなかった子規は、その年が最後の春になると覚悟していたのでしょう。翌年9月に34歳で亡くなります。晩年を過ごした「子規庵」(台東区根岸)の庭にもいちはつが咲いていたのでしょう。「文学の池」では、いちはつと同じアヤメ科の黄菖蒲(キショウブ)が見頃を迎えています。水辺の睡蓮(スイレン)は蕾。蓮の芽も伸びてきました。初夏の木漏れ日が降り注ぐキャンパスを歩くと、鶯やガビチョウの賑やかな囀りに混じってキビタキの鳴き声が聞こえてきます。キビタキは夏鳥。毎年この季節になるとやってきて秋頃にはいなくなります。どこからか高速で木をつつくドラミングも聞こえてきました。音の主を求めて雑木林に分け入ってみるとキツツキの仲間アオゲラが木に開けた穴から出入りしていました。子育ての最中なのかも知れません。青葉の陰で姿はなかなか見えませんが、鳴き声を覚えるとバードリサーチが楽しめます。
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ページ公開日:2023年05月16日


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