2度あることは「3度ある」にするのか、「3度目の正直」にするのか
教員採用試験 合格体験記08
私の通っていた中学校は、当時区内で恐らく最も荒れた中学校で、特に私の学年はやんちゃな生徒が多く、生徒と先生のケンカや言い合いなどが日常茶飯事でした。しかし、校長先生をはじめ、先生方が一歩も退かずに、私たち生徒と向き合ってくれた姿に胸を打たれ、いつしか将来、教師になりたいと思うようになりました。
進路選択に悩んでいた頃、母親から「創価大学に行くのが、教師になる1番の近道じゃない?」といわれ、部活動と勉強の両立に挑戦しながら、創大進学を目指しました。しかし、高校3年生の進路相談の際、担任の先生に、創価大学に行きたいと話すと、「難しいかもしれへん」との回答が。その言葉通り、3度の入試を受験しましたが、結果はいずれも不合格。「俺には創価大学に行く資格がないのか」と思い悩みました。それでも創価大学に行きたい思いは変わらず、浪人も考え母親に相談すると、偶然にもその場に通信教育部のパンフレットがあり、「通信教育部で教員免許取れるんやって!通教でもいいんじゃない?」と言われました。
4人弟妹の長男だったため、家計や兄弟たちのことを思うと、学費が安く、自分のペースで勉強でき、教採受験に向けた対策なども手厚い通信教育部に入学することを決めました。
経済学部に入学し、2年生から中・高教職課程に登録(※1)。卒業単位は184単位となり、レポート、科目試験は他の人より1.5倍となりました。
自学自習の通信教育では、「理解してくれる仲間が近くにいない」ことが最大の壁でした。決意を持って通信教育部に入学したものの、その孤独から、次第に勉強に対して後ろ向きになっていきました。
そんな私の通教生活が大きく変わったのは、光友会(※2)との出会いがあったからです。光友会の皆さんの、底抜けの明るさ、真剣に学ぶ姿、1人1人が卒業の栄冠を目指し団結して励まし合う温かさに触れ、「ここにいれば勇気がもらえる。勉強に対する意欲が出てくる」と感じ、光友会の活動にも積極的に参加するようになりました。
共に学び合う仲間の存在に励まされ、そこからは卒業を目指し、ただひたすらに勉学に励みました。卒業単位が多く、4年で卒業するのは厳しいと周りに言われたこともありましたが、「同じ年に入学した人たちと絶対に同じ年に卒業する!」との決意を貫き、4年で必要単位を修得し、快晴の空の下、卒業式に参列できたことは今でも金の思い出です。
(※1:中・高教職課程は現在課程を終了しております)
(※2:光友会は都道府県を単位として、通教生同士で構成されている組織です。地域ごとに勉強会などを開催しています)
働きながら、採用試験に向けて、勉強をすることは、挑戦の連続でした。
3回目の挑戦となった今年の採用試験。心が挫けそうになるたび、「【2度あることは3度ある】にするのか、【3度目の正直】にするのかどっちやねん!逃げんな!」と自分に言い聞かせ、自分の心を鼓舞していました。
教育現場で働きながら、私が特に大事にしていたのは、①生徒との関わりを大事にすること②様々な生活指導の場に入ることの2点です。
大阪市の教員採用試験は、1次試験で「個人面接」、二次試験では個人面接に加えて「場面指導」となっています。「場面指導」ではあらゆるケースでの教師としての対応が試されます。その意味においても、この2点は何より現場の経験が活きると感じていました。
1点目の「生徒との関わり」については、お世話になっている先生から、「普段の授業中の何気ない質問にすぐ対応したり、休み時間での会話、様子などを観察したりして、少しの異変や変化に対応したりすることで、生徒の返答や先生に対するイメージってすごく変わるよ」とアドバイスをいただいたことで、以前よりも生徒との関係を築くことができたり、生徒の感じていること、考えていることなどが徐々に理解できるようになりました。
2点目の「様々な生活指導を経験すること」については、中学生ならではの悩み、生徒同士の人間関係、学校内外のトラブル、不登校になりそうな生徒へのアプローチなど、さまざまなケースでの生活指導に積極的に入らせてもらいました。他の先生方の教育観、指導の仕方を間近で学ぶことで、「自分ならどのような指導をするか」を常に考えることができ、自身の教育観が確立していったと思います。
筆記試験対策は、中学校勤務ということもあり、普段の授業研究に加え、部活動指導などでなかなか時間を捻出できず苦戦しましたが、時間が無いからこそ、少しでも空いた時間があれば、単語帳を開き、社会の各分野を1~2時間で区切って集中して勉強を続けてきました。面接練習では、通教でお世話になった先生や、勤務先の校長先生、教頭先生に分からないところは質問し、何度も練習を重ねていきました。
試験前日、教頭先生から「川邉君なら大丈夫、今日まですべてを両立して頑張ってきたんやから、自信もって頑張ってきて!」と激励していただきました。当日は、その応援が自信となり、練習通りの成果を発揮することができました。
2次試験から約2ヶ月後の合格発表日。学校行事の時間と重なっていましたが、合間に恐る恐るホームページに見ると、そこには受験番号の数字が。通教卒業から約2年、3度目の挑戦で合格することができました。
今は、常勤講師という立場で、1・2年生の社会科担当として教壇に立たせていただいています。去年までは「自分に教師が務まるのか」と不安でいっぱいでしたが、生徒や周りの先生方に恵まれ、やりがいを感じながら毎日働いています。
通教に在学しながら、塾講師や学童の仕事をしている人も多いですが、学校の支援サポーターや部活動指導員などで、実際に学校現場で起きている課題や雰囲気など学ぶことは非常に良い機会になると思います。
「教師」は、本当に色々な人と関わる仕事であり、だからこその難しさ、もどかしさもある仕事です。ですが、実際に教壇に立ち、授業をすると、“もっと生徒のために頑張りたい!”と思え、もっと成長したい、もっと生徒を感動させたいと思える、自分にとっての天職であると感じています。
これからも「生徒の価値を創造できる教師」、「誰からも信頼される教師」になるために、常に生徒から学び続けることを忘れず、創価大学で学んだことを生徒に伝えられるよう、1日1日を大切に頑張ってまいります。
かわべ りょう Kawabe Ryo
[出身地]
大阪府
[合格地域]
大阪府大阪市
[一日の勉強時間]
平日2~3時間 休日5時間以上
[おすすめ教材]
<日本史>
詳説日本史研究(山川出版社)、詳説日本史図録(山川出版社)、日本史用語集(山川出版社)書き込み式日本史問題集(山川出版社)、日本史B日本史問題集(山川出版社)
<世界史>
詳説世界史解説(山川出版社)、詳説世界史総合図録(山川出版社)、私大・二次対策世界史問題集(山川出版社)、書き込み式世界史問題集(山川出版社)、世界史用語集(山川出版社)
<地理>
新説 資料 地理の研究(帝国書院)、実力養成地理問題集(山川出版社)、村瀬のゼロからわかる地理B【系統地理編】(学研)、村瀬のゼロからわかる地理B【地誌編】(学研)、地理用語集(山川出版社)
<政治・経済>
詳説政治・経済研究(山川出版社)、政治・経済問題集(山川出版社)、政治・経済用語集(山川出版社)
その他:大阪府・大阪市・堺市・豊能地区の社会科(過去問・参考書)