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2023年04月11日

丹木の歳時記2023 卯月(二)

創大Days編集部

百年以上前の1917(大正6)年4月20日。13歳の少女が神戸港を旅立ちます。乗船した船はブラジル行きの「若狭丸」。約2ヶ月後にサントス港に着きます。彼女の名は「アマゾンおケイ」こと小川フサノ。軍事アナリスト・小川和久氏の母君です。八人兄弟の次女として生まれた彼女は尋常小学校を出たばかり。貧しい実家の口減らしのため、叔父夫婦と一緒にブラジルに移民。サンパウロから数百㎞離れたコーヒー農園で身を粉にして働きます。2年後、叔父の家を出奔してサンパウロへ。新聞社に勤めながら英語とポルトガル語を習得し、ダンスを覚えて帰国。日本と上海で財を成します。アメリカの外交官との恋愛、上海の財閥との交流など、20世紀を駆け抜けたアマゾンおケイの人生は波乱万丈、紆余曲折。戦前に莫大な資産を築いたかと思えば、戦後は生活保護を受ける苦境に陥ります。小川和久著「『アマゾンおケイ』の肖像」は、激動の時代に最後まで毅然と胸を張って生きた一人の女性の物語。最愛の息子の筆でかくも詳細かつ鮮やかに人生を再現されればおケイさんも本望でしょう。背景として描かれている時代状況をなぞることで近代史の再確認にもなる一書。ドラマや映画になるとすれば主役を演じるのは誰かと想像しながら読むのも一興です。
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ページ公開日:2023年04月11日


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