創大Days

2024年05月27日

丹木の歳時記2024 皐月(四)

創大Days編集部

薄暗い雑木林の一画で采配蘭(サイハイラン)が咲いています。その名は戦国武将が戦場で指揮を執るために使った采配に似ていることからついたそうです。采配蘭の葉はほとんどが1株に1枚。光合成による葉からの養分だけでなく、地中の菌類から獲得する栄養にも頼る「部分的菌従属栄養植物」として知られています。金蘭、銀蘭なども同じ仲間ですが、これらの植物の根は菌類の菌糸と絡み合って栄養をやり取りするための「菌根菌」を形成しています。菌根菌は樹木の根とも共生しているので、仮に采配蘭だけを掘り出して別の場所に移植しても長くは生きられません。共生する樹木や菌類を一緒に移植することはほぼ不可能。つまり「菌従属栄養植物」を保護するためには、生育環境をまるごと守るしかないということになります。采配蘭は乱獲などにより生息数が減少しているため、一部の地域では絶滅危惧種に指定されています。本学ではこれまで2株が確認されていましたが、嬉しいことに今年は4株に増えました。SDGsの目標の一つに「陸の豊かさも守ろう」とあり、具体的なターゲットとして絶滅危惧種の保護や絶滅を防止するための対策を講じることが掲げられています。多様な生物が生息する里山の生態系を守ることは、そのまま「陸の豊かさを守る」活動につながっています。
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ページ公開日:2024年05月27日


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