創大Lab

2021年05月31日

大学教育のDX(デジタル革命)

創大Lab編集部

浅井 学 教授 経済学部 経済学科
(広報誌「SUN」2021年4月号:「学問探訪」の掲載記事より)

「データサイエンス教育」で広がる、“学生の将来”と“持続可能な世界”の可能性

ー コロナ禍によって日本社会のDX(Digital Transformation:デジタル革命)が急速に進んでいます。もっとも象徴的なのが「ウェブ会議」。そのソフトやアプリケーションは企業活動の必須ツールとなり、学校教育の現場でもオンライン授業を定着させました。こうしたDXの波は、社会が求める人材像にも大きな影響を与えています。そのキーワードとなる「データサイエンス」について、創価大学データサイエンス教育ワーキンググループ座長の浅井教授に教えていただきます。

『データサイエンティスト』という言葉をご存じでしょうか? 社会にあふれる膨大なデータから新しい価値を生み出す『データサイエンス』の専門家のことです。
「そのアイデアから生まれたものとして、例えば病院の問診票の電子タブレット化があります。患者さんが選択した情報が自動で電子カルテに反映され、症状に合わせて質問内容が変化するという、紙では不可能な方法で診察の可能性を広げました。もちろんWebやSNSの発展、便利なスマホアプリの開発の裏にもデータサイエンティストの活躍があります」
SDGsの推進にもデータサイエンスは貢献しています。社会課題を調査・考察するなかで得たデータから解決のベストウェイを選択するための統計やデータ解析の能力もデータサイエンスに該当するそうです。
「今後到来するSociety 5.0(※)では、昔の『読み書きそろばん』のレベルで、データサイエンスの基礎的な知識やスキルが求められるようになると言われています」
そうした世界の潮流に合わせ、2019年6月に日本政府は『統合イノベーション戦略2019』として、「データサイエンス・AIの応用知識を持つ人材を、文系理系を問わず、年間25万人育てる」という目標を掲げています。創価大学では、そうした動きに先駆け2019年度より全学部対象の副専攻として『データサイエンス』がスタート。2021年度から日本IBMの協力のもと開講する『データサイエンス演習』は、考察力に富んだ文系学生と情報システムの知識の豊富な理系学生が切磋琢磨しながら、SDGsなどの社会課題の解決に取り組む注目の演習科目となっています。
「さらに2022年度からは全学必修科目として『データサイエンス入門』がスタートします。全学必修となると、気持ちがついていかない学生も出てくることでしょう。そうした学生に関心を持ってもらえるよう、各学部・学科の学びとの相乗効果でどのような価値を生み出すかを理解してもらい、心のハードルを下げたうえで、データサイエンスを学んでもらおうと考えています。課題解決で一番大切なことは、悩んでいる人への心配りだと思います。それが自然とできるのが創大生の強みです。そうした強みがデータサイエンスによって強化されることで、次々と社会課題の解決策が本学から生まれることに期待しています」

(※)Society 5.0は、IoT(Internet of Things)、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータ等の新たな技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れてイノベーションを創出し、一人ひとりのニーズに合わせる形で社会的課題を解決する新たな社会です。

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ページ公開日:2021年05月31日


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