レポート作成講義【入門タイプ】を担当して
通信教育部 教授 有里 典三
通信教育部での学習はレポート学習が中心になります。テキストを熟読して自分の頭で考え抜き、2,000字以内でレポートをまとめる学習が実に全体の75%を占めています。レポート作成講義はこれを攻略するための自主講座であり、創価大学通信教育部の代表的な学習支援プログラムです。この自主講座の目的は1つです。全通教生がレポート学習に主体的に取り組めるようになるために、役に立つ実践的な指導をすることです。そのために、参加者には洩れなく入門タイプの『講義資料』とA・B・Cタイプの『講義資料』を無料でお渡しします。さらに、学生ポータル上に副教材として『自立学習入門講座』(2023年3月末の時点で65回の連載を達成!)をアップして全員が閲覧できる体制を組んでいます。これらの資料を積極的に活用して、「レポート学習」を実際に攻略できるアカデミック・スキルを早い時期に習得していただきたいと念願しています。
レポート作成講義では次の点にこだわって講義を進めます。第1に、レポートの4つの評価項目に即して講義を行います。第2に、レポート学習の全体像を起点から終点まで時間の流れに沿って講義を進めます。第3に、レポート学習全体を扱いやすい小さなステップに細分化し、それぞれのステップごとに利用できる具体的なスキルを紹介します。第4に、レポート作成講義では、高度な内容は避けて比較的容易に身に付けられる初級レベルのスキルを優先的に取り上げます。
入門タイプの講義では、「レポートとは何か」を最初に明確にします。それは単なる読書レポートではありません。通信教育部で課せられるレポートは「学習成果報告書」であり、社会人にとっても重要な「読み、考え、書く」能力を鍛える最良の学習課題です。
レポート学習には明確な流れがあります。レポート学習を能率的かつ効果的に行うためには、注意深い時間の割り振りと適切な計画を立てることが肝要です。前半のインプット段階(情報の収集段階)と後半のアウトプット段階(執筆段階)に分けて、それぞれの段階ごとの課題を明確にしながら適切な時間の割り振りを行ってください。
レポート学習の心得についても触れましたが納得できたでしょうか。他人の合格レポートを参照したり丸写しにすることは厳禁です。テキストの内容を十分に理解しないままで安易に引用する行為も慎んでください。このような学習姿勢では本物の「読み、考え、書く」力はいつまでたっても身につきません。
次に、テキストの読みと情報の収集のスキルを講義をしました。この点を踏まえて、「実際にレポートを執筆するためのスキル」について指導しました。具体的に言うと、最初に「レポート全体のアウトライン」を作るコツについて説明しました。暫定的なアウトラインがどのようなプロセスと修正を経て完成形に発展していくのか、事例を使って解説しましたが理解できたでしょうか。
第2は、レポート全体の構成についてです。なぜ「起・承・転・結」ではなく「序論・本論・結論」の3つのパートに分けて記述するのか、それぞれのパートにはどのような役割があたえられているのか、バランスのとれたレポート全体の構成要件とは何かについて解説しました。全体の構成を考える上で、推理小説の組み立て方が参考になることも強調しました。
第3は、パラグラフ・ライティングのコツについてです。パラグラフこそ、特定の主張を説明したり、論証したりするための構造上の基本パーツです。これをうまく作成できるようになることがレポート攻略の王道です。その際、「1パラグラフ・1主題の原則」、論理的なパラグラフを作成する「統一性・連関性・展開」についての3つの技法、「題目文と補足文を意識して演繹的な順序で叙述する」コツなどを演習問題によって指摘しました。自学自習の際には、以上の講義ポイントを各自が納得できるまで繰り返し学習してください。
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