今、創大で学ぶ者に求められる誠実さ
教育学部長 関田 一彦
ChatGPTに代表される文章生成型AI(以下AIと略す)の使用をめぐっては、たびたびマスメディアでも話題になっている。特に、教育における利用に関しては文科省もガイドラインを検討するなど、関係者の大きな関心を集めている。そうした現状を踏まえ、本学でも4月に「授業課題における AI 利用の考え方と注意点について」と題する文書が出された。その中で、「本学では、レポート等の授業課題における AI の利用について一律禁止の措置をとらず、担当教員が各授業の到達目標や学生に身につけてほしい力を考え、授業課題の作成条件や留意事項として AI の利用/禁止等を示していく」ことが、春学期の方針として教員に示された。また、履修要項に記載している受講モラルガイドラインをよく理解し、課題提出に際して不正と判断されるような行為は厳に慎むように学生に周知することが求められた。ここでのガイドラインのポイントは、創価大学という学問共同体において、虚偽や欺瞞といった不正を許さない姿勢と、共同体構成員の期待と信頼を裏切る行為への誘惑に対する品位ある自覚である。
教員は特定の知識・技能を身につけてもらうために課題を課す。通教では多くの場合、レポート課題は教科書や参考文献で学んだ知識を教員の指示に沿って活用し、適切に表現することを求めている。それは、内容は正しく理解されているのか、それらはどの程度応用可能なレベルで理解されているのか、学生の学修成果を点検するためのものである。したがって、(あえてそうした指示を出さない限り)教員は学生がレポート作成に際し、AIも含め自分以外のものが作成したレポートを自分が作成したと偽って提出することを想定していない。
学生の実力を測り、理解の促進を願う教員の期待を裏切って、あたかも指示通りに作成したかのように振舞うことは、不誠実な行為である。バレなければ問題ない、周囲も同じことをやっているのだから自分もいいだろう、という発想は品位ある姿勢からは出てくるはずがない。創立者はかつて「学光」の100号記念特別寄稿において「“勉強の訓練”を自分に課し、やり遂げていったところに身につく克己心や、人への思いやりといった人間の輝きこそ砂金の輝き」であると指導された。教員の指示に従わず、勉強の訓練を疎かにした結果、身につくはずの知識や技能が身につかないだけなら、ある意味、自業自得であろう。しかし、教員や学友を偽って単位を取ろうという姿勢は、創大生としての品位に欠けるものであるということは強調しておきたい。人間教育の最高学府に学ぶ者は勉学に対しても学友に対しても誠実でありたい。
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