通信教育部での学業を見事に修了され、晴れて卒業の栄冠を手にされた皆さん、ご卒業おめでとうございます!これで皆さんは、創価大学卒業生という栄えある資格を得たことになります。今後はさらに新たな可能性を目指して、大いに前進していただくことを期待します。
皆さんの在学中には、世界を巻き込んだ新型コロナウイルスの蔓延と、それによるスクーリング授業のオンライン化という大きな変化がありました。通教生にとって全国や世界の友と出会う最大の好機である夏期スクーリングも、2023年度にようやく再開されるまでオンライン開催が続きました。また、急激な円安や海外での紛争を契機とする物価高により経済的に圧迫され、学業の継続が困難となった方もおられたに違いありません。
こうした数々の困難を乗り越え、努力と忍耐を積み重ねてつかみ取られた卒業は、皆さんそれぞれにとって、かけがえのない価値を持っていることでしょう。皆さん一人一人の頑張りを、最大に讃えたいと思います。
さて、昨年11月15日、創価大学の創立以来通信教育部を最も大事にされ、常に通教生を激励してくださった創立者池田先生が、残念ながらご逝去されました。皆さんは、創立者ご逝去後初の卒業生です。そこで、創立者のお言葉をいくつか振り返りつつ、皆さんの卒業の意義について考えてみたいと思います。
創立者は、創価大学の設立構想段階から次のように言われていました。
最初からは無理かもしれませんが、通信教育や夜間部もできるだけ早く始めたい。(中略)通信教育ならば、年齢、職業、居住地等に関係なく、あらゆる人が勉学にいそしむことができることになります。
(1969年5月3日 創価大学設立構想)
こうした考えについて創立者は、その後も様々な場面で繰り返し述べられています。創立者が、あらゆる人が入学して勉学に励むことができる通信教育部を、いかに大切に考えておられたかがよくわかります。
今回の卒業生も、20代から80代まで幅広い年齢にわたっています。当然ながら職業も様々で、海外在住の方もおられます。まさに創立者が望んだとおりの姿です。皆さん一人一人が創立者のご構想の実現者であり、ご卒業を創立者も心からお喜びのことと信じます。
創立者はどこまでも、大学を閉じた組織ではなく、市民に開かれた存在とすることを希望されました。
市民と一体になった創価大学の伝統を作るために、彼は、勇んで原稿を書き、市民のなかに飛び込んでいったのだ。
伸一は、開学前に、創価大学に通信教育部を設置する構想も発表している。
この夏季大学講座と通信教育という二本の柱を打ち立て、市民に開かれた大学を実現したいと、彼は念願していたのだ。
(小説『新・人間革命』第15巻「創価大学」の章)
日本では、大学はどうしても18歳の高校卒業生が通うものという意識が強く残っています。そのような大学は、ともすると周辺の市民社会から隔絶した存在となりがちです。しかし老若男女が勉学にいそしむ通信教育部は、まさに現実社会に生きる市民のための、市民に開かれた大学です。
最近では大学にも地域社会への貢献が強く求められるようになってきました。創価大学は現在、地元八王子との連携にも積極的に取り組んでいますが、幅広い世代がともに学び、誰でも勉学を修めて卒業できる通信教育部の存在が、地域連携活動でも大きなプラスになっています。
創立者は、通信教育部の意義について次のようにも語っておられます。
ご存じのように、私もほとんど夜学で学びました。名もない夜学であれ、通信教育部であれ、そういうところから社会に貢献できる人物が出てきたときに、これが本当の教育革命であると思います。
(1979年11月3日 第2回全国通教生大会)
一流大学で教育を受けた限られた人々だけではなく、社会生活を営みながら自発的に学んで卒業した人が社会貢献するようになるとき、大学教育が革命的に変わるとの宣言です。最近では社会人を対象とした「リカレント教育」「リスキリング教育」などが注目され、政府も補助金を出して推進しています。まさに創立者が語った「教育革命」が起ころうとしています。
創価大学通信教育部からは、これまで博士や企業の重役、校長などが次々と誕生しています。今回卒業された皆さんも、通信教育での学びを活かして、社会の様々なところで力を発揮しようと考えておられることでしょう。皆さんの大活躍により、創価大学がまさに「教育革命」の最前線に立つようになることを期待しています。
残念ながら分断と対立がますます深刻化する世界にあって、人々を結び付け平和を実現する創価教育が、強く求められています。晴れて卒業された皆さんが、創価教育の智慧の担い手として、社会の向上を目指して大いに力を発揮されることを願ってやみません。
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