昨年は、4年ぶりに夏期スクーリングを対面で実施することができましたが、それまで、コロナ禍でのさまざまな制約がありました。それらを乗り越えて卒業の栄冠を勝ち取られた皆さんの地道にして真摯な学びの姿勢に深く敬意を表します。コロナ禍でなくても、通信教育における最大の課題は卒業が難しいということにあります。小説『新・人間革命』の「学光」の章では、通信教育部開設前から、創立者・池田先生がこの点に誰よりも心を砕いておられたことが語られています。
これについては、2022年8月16日開催の「第47回学光祭」において、の塩原將行氏(池田大作記念創価教育研究所客員研究員)による講演が行われました(『学光』Vol.3掲載「第47回学光祭記念講演:創立者・池田先生と通教生、そして、私にとってのレポート課題」)に語られています。塩原氏は、第一回卒業生229人が誕生の背景には、創立者と“信”を“通”わせた 一人一人の奮闘があったと論じています。同じように、今回卒業される皆さんお一人おひとりにもかけがえのない、“信”を“通”わせた奮闘のストーリーがあったことでしょう。
通信教育部開設40周年に、創立者が寄稿してくださったメッセージに次のようにあります(2016年5月 通信教育部開設40周年特別寄稿「『信』を『通』い合わせ人間教育の大道を」)。
「牧口・戸田両先生も、私も、学びたくとも思うように学べない青春を過ごしました。だからこそ、けなげに学ぶ人々と力強く「信」を「通」い合わせて、「学は光」の大道を開きたいと願ってきたのです。(中略)今、わが創大の通信教育部の皆さん方が、この誉れの系譜に真っすぐに連なってくださっています。(中略)通教の皆さん方が、これから無数に続く学友たちとも、限りなく「信」を「通」い合わせてくれる未来を、私は思い描いております」。
特に、「…限りなく『信』を『通』い合わせてくれる未来を…」とのお言葉をかみしめるとき、“信”を“通”わせる重要性は、その永遠性にこそ意味があるのだと思います。
さて、創立者が、創価大学の開学と同時に通信教育部の開設を構想しておられたことは、皆さんよくご存じのことと思います。しかし、それは前例がないという理由で、一度卒業生を出してからということになりました。
その一期生の卒業式(1975年3月)に際して、創立者は次のように述べられました。
「大学を出れば、今度は、自分で自分を教育する生涯教育のコースに入るわけであります。それには何歳になろうとも、向学心が衰えないこと、これが条件です。そして必要に応じて学び、仕事のうえと教養に役立てていく。それが理想的な態度であります。学ぶのは充電であり、役立てるのは発電であります。」
「一生、この充電、発電を絶やさずに繰り返していけるようになったならば、その人は必ず人生の勝利者になっていくことは間違いないでありましょう」と。
その1年後の1976年、創価大学通信教育部が開設されたのです。
通教卒業生の多くの方は、創立者のご指導通り、すでに自らを教育し続け、充電と発電を繰り返してこられた、人生の勝利者であると信ずるものです。そして同時に、卒業してもなお、この往復作業を続けられますよう念願しております。
昨年の12月3日、通教を卒業されて20周年の節目を飾る、通教24期生大会が大学構内で開催されました。その記念品のカードに創立者のお和歌(うた)がしたためられていました。
「わが心 一生涯 いな永遠に 君の勝利へ 君と走らむ」― いつまでもお元気で! 充実した晴れやかな 栄光の人生を祈りつつ ―。
2026年の通教開設50周年に向けて、皆さんに続く後輩への励ましを宜しくお願いいたします。最後に重ねて、皆さんの栄えあるご卒業をお祝いいたしますとともに、益々のご健勝をお祈り申し上げます。
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