デフォルト・モード・ネットワークとセレンディピティ
経営学部長 栗山 直樹
通信教育部の皆様の中でも、日々の勉強で課題に追われている方は多いと思います。オンライン教育の普及に伴って、ますます課題が多くなっているのは否めない事実です。課題に取り組むことにより、新しい知識を得て、それを定着させることができるので、各授業で課題の設定は大変重要な学習要素となります。ただ、課題だけに追われていると、「今、何をやっているのか」「人生にどのような意味があるのか」を考える機会がなく、自分を見失ってしまうリスクもあります。日本人の働き方改革で、仕事と人生をどう関連づけるのかというワーク・ライフ・バランスの問題が取りざたされています。
脳科学者の茂木健一郎氏は、「デフォルト・モード・ネットワーク」(Default mode network) という脳科学の知見の重要性を強調しています。いろいろな体験や学習の繋がりに意味を見出すことができる機能のことで、何かの課題に取り組んでいるときには働かず、何も情報が入ってこない状態で機能する状態ということです。茂木氏は、「散歩」をしているときがこの機能が最も働くと指摘しています。確かに私も多忙な時ほど、散歩をすることにより、頭が整理できる気がします。
意図しない偶然の幸運が人生を決めたということはよく聞きます。米国のIT大手の副社長だった宇陀栄次氏が昨年秋の創価大学での講義(トップが語る現代経営)で語られていた言葉に「セレンディピティ」(Serendipity)を紹介されていました。これは偶然の幸運ということを意味するのですが、これは幸運をつかみ取る能力であって、単なる出来事をいうのではないと強調されていました。世界を席捲するアップルなどの企業経営者はそれを持ち合わせているといいます。世界的な交友関係の中で、それらの方々は、物事をネガティブに考えない能力を持ち合わせ、「妬み、やっかみ、不平、不満、悪口、陰口」は、その能力を下げるというのです。「強く、正しく、明るく、強く」を実践したら、宇宙の力を味方につけ、幸運をつかみ取る能力を高めると指摘されていました。松下幸之助氏もこの考え方に大きく影響されたとのことです。
多忙な日々でも、心に余裕を持つこと、そして偶然の出会いを大切にして、それを人生の幸運に繋いでいくこと。そのために自身の人間性を磨く重要性を学びました。
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