4種類の「レポート作成講義」の概要
通信教育部 教授 有里 典三
入門タイプの講義内容を紹介します。入門タイプの「レポート作成講義」ではレポート学習の全工程を時系列的に総攬します。特に、(1)レポート学習の進め方と留意点、(2)レポート学習の前半(インプット段階)と後半(アウトプット段階)の学習課題、(3)それぞれの作業工程において、「読む・書く・考える」能力を高める基本的なアカデミック・スキルについて概説します。
(1)では、①学術的なレポートと作文、エッセイ、小説との違い、②レポート学習の心得、③不正レポートと罰則、について言及します。
(2)では、レポート学習の前半のポイントが、①「レポート課題の意味をいかに把握するか」と、②「テキストをいかに正確に読むか」の2点にあることを示します。それに対して、レポート学習の後半のポイントは、③「いかにして論理的なレポートを執筆するか」と、④「仮の下書きをいかにして推敲し完成させるか」といった点にあることを明確にします。
(3)では、レポート学習の各工程で「読む・書く・考える」作業をおこなうときに必要となる代表的なアカデミック・スキルをとり上げて紹介します。個々の詳しいアカデミック・スキルについてはA・B・Cの各タイプで扱うことになります。
新テキスト『自立学習入門』(第3版)との関連でいえば、第1章・第3章・第4章・第6章・第7章が該当する箇所になります。入門タイプの「レポート作成講義」は、4月が2会場、5月が8会場、6月が1会場で実施されます。それ以外に、夏期スクーリング期間中のⅠ期・2期・3期に3回にわたって「レポート作成講義」が開講されます。
Aタイプは、レポート学習の前半(インプット段階)の課題である(1)レポート課題をいかに把握するかと、(2)テキストをいかにして正確に読み取るか、という2点を中心に講義が展開されます。
(1)については、レポート課題のゴールをピンポイントで予測するために、①「出題の意図」や「明らかにすべき研究対象」を読みとるコツ、②「関連情報」をテキストの中から見つけ出すコツ、③「考察条件」を明らかにして「考察の種類・タイプ」を判別するコツなどを、具体例を踏まえながら解説します。
(2)については、①テキストの全体像をつかむための「トップダウン的な読書術」、②テキストの内容を正確に読み取るための「パラグラフ単位の精読術」、③レポート課題(問い)に対応した解答を探し出すための「探索型の読書術」、④思考を深めるための「批判的読書術」など、4種類の読むためのスキルについて説明します。また、こうした読書術と密接に関連する「読書メモ」のとり方や「情報カード」のつくり方についても説明します。
新テキスト『自立学習入門』(第3版)との関連でいえば、第3章と第4章が学習対象になります。Aタイプについては、7月の「レポート作成講義」と夏期スクーリング期間中の1期・2期・3期の3回の講義で触れる予定です。
Bタイプは、レポート学習の後半(アウトプット段階)でもっとも重要な課題となる(3)論理的なレポートをいかにして書くか、という点を中心に詳しく説明をおこないます。
すなわち、①「レポート全体のアウトライン」(=論理展開の流れを示した設計図といったもの)を作成するコツ、②レポート全体(2,000字)を「序論・本論・結論」の3つのパーツを意識しながら構造的に組み立てるコツ、③レポートを作成するときの基本単位となる論理的な「パラグラフ」(=およそ200~400字程度の意味の統一体)の要件について、④論理的なパラグラフを組み立てるための「叙述パターン」の特徴、などに焦点を当てて講義をおこないます。この段階の学習は通教生の皆さんがもっとも苦手とする内容であるため、ここで紹介するアカデミック・スキルを習得できれば、皆さんのレポートの完成度は大きく進むはずです。
Bタイプは新テキスト『自立学習入門』(第3版)の第6章が対象範囲になります。Bタイプの講義がおこなわれるのは、夏期スクーリング期間中の1期・2期・3期の3回と10月の「レポート作成講義」です。
Cタイプの講義は、(4)下書きしたレポートを見直し磨きをかけて完成させる、推敲のスキルを習得することと、(5)レポートの説得力を高めるための代表的な「論証形式」を習得することにポイントを置いています。
すなわち、(4)については、①論理構成面からの推敲、②文章作法に則った推敲、③原稿作法とルールに則った推敲、といった3つの観点から推敲作業の具体的なスキルを総合的に説明する予定です。
最後の(5)については、④論理学的知見を踏まえて「妥当な論証形式」と「ダメ論証」の違いを説明します。また、パラグラフ内の「題目文」を支えたり説明したりする「補足文」の具体的な展開方法を、たとえば「敷衍的説明や例示」、「分類と定義」、「因果関係」、「演繹的推論」、「比較・対照」、「実験・世論調査・統計などの表やグラフ」による例証など、頻繁に用いられる技法を解説する予定です。
Cタイプは新テキスト『自立学習入門』(第3版)の第7章が該当箇所になります。Cタイプのシナリオに基づく講義は、夏期スクーリング期間中の1期・2期・3期の3回だけに限って実施されます。
新型コロナウイルスによる感染が進んでいる状況下では、残念ながら対面式の講義を実施するのは困難でしょう。今年も「レポート作成講義」の多くがオンライン会議システムZoomを使ったリアルタイムで実施される予定です。しかも、2023年度からは科目試験も会場試験からWeb試験へと全面的に移行しますので、科目試験終了後に実施していたこれまでの「レポート作成講義」はなくなります。このように対面式でおこなう「レポート作成講義」は少なくなりますが、それに代わって、2021年4月から入門・A・B・Cの各タイプの「レポート作成講義」が収録映像(オンデマンド)として公開されています。これを繰り返し視聴してください。オンデマンドの長所を生かして、通教生の皆さんがレポート学習の壁を徐々に克服していけることを願っています。
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